研究課題/領域番号 |
18K02426
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
油布 佐和子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教師 / workload / 多忙化 / 教育改革 / アカウンタビリティ / マーキング |
研究実績の概要 |
コロナの終息が見えないことから、予定していた研究(国内・国外のフィールドワーク。主としてエスノグラフィー)はほとんど実施できず、文献研究やZOOMを通じての簡単なインタビューの実施にとどまった。 研究については、前年度からの進展が見込まれなかったため、本年度はそれまでのフィールドワークや文献で明らかになったことを、ひとまずまとめることに費やし、3本の論文を執筆した。そのうち1本は、渡英した折に調査に多大な協力をしていただいた英国の研究者の呼びかけによるものであった。 教師の労働荷重は、アングロサクソン系の国では共通した傾向がみられる。新自由主義的教育改革によって、アカウンタビリティが強く求められることにより、教師が日々の活動の中で気を遣う(intensification)領域が大きく変わったことや、それまでと同じ活動であっても、意味付けが異なってきたことによるものが多かった。英国の小学校の例では、教師は、授業をした後、子どもたちのノートを読み、コメントを入れて返却する(マーキング)個別指導に近い指導を常としているのだが、このマーキングが「教師がどれだけ一生懸命に指導しているか」のエビデンスとして用いられるようになったことから、その作業が、当該の子どもに対してだけではなく、他者(評価者)に見られることを意識して行われるようになり、負担が増している、などの例が挙げられる。同時に、子どもの多様化(移民など外国籍の子供の増加、特別な支援をする子供の増加)が、教師の仕事を増やしている。 イギリスのデータ収集をさらに強化するとともに、こうしたアングロサクソン系の「教師の労働過重・多忙化」と、日本の状況のどこが同じでどこが異なるのか、この点を明らかにすることが課題として残っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、フィールドからのデータがなければ分析・考察が難しい設計になっている。それにもかかわらず、コロナ禍のために、フィールドに出かけることが困難であった。特に海外(イギリス)で収集していたデータ(フィールドワーク)は中断したままであるし、日本における退職教員の調査は、対象者が高齢であるためにZOOM等でのインタビューなども難しく、声を拾うことができなかった。研究の遅れの原因は、すべてこうした状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、海外への渡航については、相手方(イギリス)はコロナ禍にあっても渡航は可能になってきた。ただし、ロシアによるウクライナ侵略のために、航空機の予定が難しい(スケジュールや航空運賃)状態にあるようだ。できることなら、今夏・今秋あたりに、データ収集で渡英できればと願っている。 国内調査については、十分な注意を払って夏休みを中心にデータの収集ができるように計画中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、予定していたフィールドワークの実施ができなかったことによる。
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