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2023 年度 実績報告書

教育労働とは何か? -<労働>概念を用いた多忙の分析ー

研究課題

研究課題/領域番号 18K02426
研究機関早稲田大学

研究代表者

油布 佐和子  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード教員 / 長時間労働 / 労働過程 / 3極構造 / ケアワーク
研究実績の概要

TALISショックを契機として、また「働き方改革」の一環として教員の過重労働・長時間労働が、研究としても政策としても重要な案件となっている。しかしながら、近年の教員実態調査からも明らかなように、改善のための施策(中教審答申第213号)には実効性の観点から疑問がある。本研究はこうした状況を背景に、近年示唆に富む知見がみられる労働研究(接客サービス、ケアワーク)を参考に、教員の仕事について「教育労働」「労働過程」という観点から切り込むことを目的とした。
教員の仕事をめぐっては、3極モデル(労働者は顧客に向き合い、顧客の満足等のアウトプットをえるプロセス全体が、管理者から統制される)への視点の転換が最も重要であることが明らかになった。顧客の満足を目指す働きかけの総体(教育の場合は、児童・生徒の満足や成績の上昇)が労働者(教員)の評価につながるという構造そのものが、何よりも問題とされねばならない。3極モデルでは、顧客の満足を高める労働を提供するため活動は多種多様に拡大し、また、それが外部基準や評価に晒されるために、労働は強化される(intensification)。、構造的に、長時間労働・過重労働が惹起されるのである。同時に3極構造でも分業化が進んでいるために、「関係的ケア」(直接顧客に係る領域)と、「非関係的な労働」(直接には対面することのない領域)に労働過程が分化する傾向があり、前者では顧客との関係を築くことに伴う精神的疲労が、後者は「関係から周辺化された専門性の低い労働」に位置づけられことへの問題が浮上している。労働の分業化が、労働へのモチベーションを下げるのである。
コロナ禍によって、研究計画は大幅に遅滞し修正を余儀なくされ、特にデータの収集が困難であったが、「労働過程研究」から得られた上記の知見を用いて、教員の実際の働き方をまとめる作業を継続している。

備考

2023.10.31の掲載記事。ただし現在、アクセスができない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 教員の負担軽減のために、業務の役割分担の在り方を再考する2024

    • 著者名/発表者名
      油布佐和子
    • 雑誌名

      みんなの教育技術(オンライン記事)

      巻: 1.24掲載 ページ: -

    • オープンアクセス
  • [図書] 教育学年報 14 論文名「働き方改革は、何を改革するのか?」2023

    • 著者名/発表者名
      佐久間亜紀、石井英真編集 著者 油布佐和子
    • 総ページ数
      440
    • 出版者
      世織書房
    • ISBN
      978-4-86686-032-9
  • [図書] The Palgrave Handbook of Teacher Education Research 論文 Policy, Teacher Education, and Covid-19: An International “Crisis” in Four Settings2023

    • 著者名/発表者名
      Trippestad, Tom & Gkofa, Panagiota & Yufu, Sawako & Heffernan, Amanda & Wescott, Stephanie & Maguire, Meg & Towers, Emma.
    • 総ページ数
      1808
    • 出版者
      Palgrave Macmillan
  • [備考] waseda online:オピニオン 教員の疲弊・学校の疲弊 ~炭鉱のカナリヤ~

    • URL

      https://yab.yomiuri.co.jp/adv/wol/members/opinion/culture/231023.php

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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