研究課題/領域番号 |
18K02429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
多賀 太 関西大学, 文学部, 教授 (70284461)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歴史社会学 / 家庭教育 / 文化的再生産 / 私の履歴書 / 伝統芸能家 / 美術家 / 女性エリート |
研究成果の概要 |
本研究は、自叙伝の分析を通して、近代日本の「文化人」の輩出過程の特徴を、特に家族の教育戦略と学校教育に着目して明らかにした。伝統芸能家では、職業の世襲が前提で、学校教育は重視されず、独自の養成制度のもとで、家族の職業文化が直接親から子へと伝達される傾向が顕著だった。逆に美術家では、美術に関する文化に恵まれた環境で育ったり、親が積極的に美術家になることを進めたりした事例は少なく、高等教育機関での専門的教育のみならず、初等中等教育での経験も職業的素養の形成に少なからず重要な役割を果たしていた。女性では、男性に比べて、文化的・経済的に恵まれた家庭の出身で、親から積極的な支援を受けた傾向が顕著だった。
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自由記述の分野 |
教育社会学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、近代化の進行に伴って学力主義的な社会的選抜の体制が拡大していった時代における、学歴を必ずしも必要としない社会的エリート層の輩出過程の特徴を明らかにした点にある。本研究の独創性は、特に次の点に見られる。自叙伝を分析したことにより、公的記録では特定しにくい家庭の教育環境の詳細な実態や学校生活の非公式で意図せざる教育効果を明らかにした点、量的分析と質的分析を組み合わせることで、文化人の輩出過程の客観的な傾向とそこでの具体的な人生のあり様の両方を描き出した点、文化人と他の職業類型との間で、また文化人内部の下位類型同士や男女間で、輩出過程の差異と共通点を明らかにした点である。
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