研究課題/領域番号 |
18K02430
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
大塚 豊 福山大学, 大学教育センター, 教授 (00116550)
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研究分担者 |
牧 貴愛 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (80610906)
劉 国彬 福山大学, 大学教育センター, 准教授 (00782228)
中矢 礼美 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (70335694)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 華僑 / 華人 / 民族アイデンティティ / 華語 / 大学教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、これらアジアの中で華僑・華人が関わる諸大学に注目し、国際比較の観点と歴史分析の観点の双方から、それらの発展に内在する社会的・教育的ダイナミクスを解明することを目指すものである。具体的には、華僑・華人が深く関わる大学の当該国における教育発展に占める位置と役割に注目し、1)彼らが異境で自らのアイデンティティ保持のために如何なる戦略と具体的措置をとり、2)現居住国と父祖の地との狭間にあって、居住国の高等教育発展のために如何なる支援策を講じて来たかついて実証的に解明することに努めた。 初年度には、2018年6月の日本比較教育学会の大会開催時に合わせて研究会を開催し、フィールドワークの日程および方法について検討し、具体的な実施計画を策定した。これに基づき、劉は8月に華僑華人研究の分野で長年にわたる研究蓄積のある中国広東省の華南師範大学他の大学において研究者にインタビューを行い、関連資料の収集を行った。大塚は12月末~1月初めにマレーシアに赴き、華社研究センター、南方大学、新紀元大学、ラーマン大学他を訪れ、各機関のセンター長、学長をはじめとする責任者にインタビューを行うとともに、各機関の設置・運営に関わる関連資料の収集を行った。牧は2019年2月にタイで現地調査を実施し、中国と国境を接し、中国および華人の影響を強く受けるメーファールアン大学を訪れ、関連資料の収集を行った。中矢は2019年2月にマーチュン大学を訪れ、副学長他の関係者に対してインタビューを行い、同大学の創設以来の運営状況に関する資料を収集した。各人は目下それぞれの資料の翻訳、分析を行うとともに、相互に情報を交換し、比較研究の具体的枠組み等について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイ、マレーシア、インドネシアという3か国でフィールド調査を行うに当たり、比較分析を行うために収集が必要な情報の確認を担当者相互で行ったのをはじめ、具体的な調査実施のデザインに比較的時間をかけて検討したが、当該国における華僑・華人の立場は微妙であり、調査にも慎重さを要する点が少なくない。例えば、インドネシアでは外国人による調査には特別な許可を要し、担当者の長年の経験を活かして最終的に調査可能になったものの、その交渉に時間がかかったため、調査実施が予想よりずれ込んでしまった。しかし、初年度のいわば予備的調査としては十分に満足のいく結果が得られたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き、各人が担当する調査対象国タイ、インドネシア、マレーシアにおける調査を継続するとともに、華人による新たな大学の設置のケースとして、3国とは異なる動きを見せているカンボジアについても、実現可能性を探りながら調査実施を試みる。また、関連学会において初年度における調査研究の成果について発表を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
インドネシアに関して予定していた現地調査の経費が計画額を下回った。しかし、調査結果の整理等にアルバイト謝金を必要としており、適正に次年度使用する予定である。
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