近年、過度な運動による子どもの運動器障害が増加している。子どもの運動器は成長発達段階にあり、骨端線閉鎖前に運動器障害が起こりやすいとされている。よって、子どもの運動器障害を予防するには、骨端線閉鎖の時期を考慮し、骨発達に合わせた介入が必要である。しかし、骨発達の基礎データが少なく、具体的な運動プログラムは開発されていない。成長期は、急激な骨発達にともない、とくに股関節、膝関節、足関節において、筋・腱の過緊張が生じやすく、柔軟性の低下による運動器障害のリスクが増大しやすい。そこで、本研究では、急激な骨発達が開始になる小学校中学年・高学年の子どもを対象に、成長期の運動器障害予防のためのストレッチ体操を開発し、実施した。ストレッチ体操の実施前後で、体格、体組成、柔軟性、活動量、体力および骨・関節のけがや痛みについて縦断的に評価し、ストレッチ体操の効果を評価することを目的とした。 2018年度は、理学療法士、トレーナーの協力を得て、成長期の運動器障害のためのストレッチ体操を開発した。成長期において柔軟性の低下が起こりやすい股関節、膝関節、足関節を中心に音楽に合わせながら、楽しみながら実施できる動画を作成した。 開発したストレッチ体操を、A県内B小学校の小学3年生~6年生65名を対象に、週3回実施してもらった。ストレッチ体操の効果をみるために、ストレッチ開始前と開始3か月後、6か月後の体格、体組成、柔軟性、活動量、体力および骨・関節のけがや痛み、運動習慣や日常生活の状況について調査を行った。2019年度は、引き続き、57名を対象にストレッチ体操を実施してもらい、ストレッチ開始9か月後、12か月後の状況について縦断的に調査を行った。また、A県内の野球チームの中学生約300名を対象に、ストレッチに関する実態調査を実施した。2020年度は結果の集計、分析を行い、今後の課題について検討した。
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