研究実績の概要 |
幼児がリスクを伴う外遊びを行うことにより諸能力がどの程度発達するのか、を検討するために,下記の2つの方向から研究を進めた。 一つは,杉村他(2018)において,保護者用リスクマネジメント評価尺度と幼児の自己制御能力(自己主張,自己抑制,注意の移行,注意の焦点化)との関係を調べたところ,月齢を統制した偏相関では,最も高い箇所でも .146と弱い相関しかみられなかった。そこで異なった自己制御能力の内容(Classroom Self-Regulation, Interpersonal Skills, Social Play-Interaction, Engagement, Social Problem Solving)を検討するために,CBRS (Child Behavior Rating Scale, Bronson et al., 1990; Matthews, Ponitz & Morrison, 2009) の翻訳およびバックトランスレーションを行った。 もう一つは,Nikiforidou (2017) を参考にし,幼児がリスクのある遊びにおいてどのようにリスク認知とリスクテイキングを行うかとともに,保育者が幼児のリスク認知をどのように評価しているかを検討した。リスクのある遊びの選択(リスク認知)は,すべり台やブランコでは年少児でも正答率が90%前後であったが,坂上りは年少児33%,年長児71%と低かった。また,すべり台やブランコでも,判断の理由の言語化においては年齢差がみられた。さらに坂上りでは,リスク認知が正確な子どもほどリスクテイキングを行わないことが明らかになった。
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