研究課題/領域番号 |
18K02441
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉村 伸一郎 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40235891)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遊び / 保育 / リスク管理 / 自然環境 / アフォーダンス / 幼児 / 発達 |
研究実績の概要 |
当初の目的を、研究テーマと関連した範囲でコロナ禍でも園の理解が得られやすい内容に変更し、2つの研究を実施した。 研究1 幼児がリスクを伴う遊びを行っている場面で、どのようにリスク管理を行っているのかを、メタ認知と自己調整学習を組み合わせて作成された枠組みを用いて検討した。幼児62名を対象として観察を行い、年少児34事例、年中児42事例、年長児32事例が収集された。分析の結果、「遊びに関する知識」、メタ認知的調整の「プランニング」、情動的・動機づけ的調整の「モニタリング」は加齢とともに増加する一方で、メタ認知的調整の「コントロール」や情動的・動機づけ的調整の「プランニング」「コントロール」は加齢とともに減少する傾向があることが示された。また、「遊びに関する知識」の回数は、年長児では保育者が遊びに関与しているときの方が多く、年少児と年中児では保育者が関与していないときの方が多かった。 研究2 幼児教育において自然環境は遊びを豊かにすると言われているが、その認知過程に関する研究は国内でほとんど行われていない。そこで、環境の情報の知覚と利用・形成という過程を記述するために、アフォーダンス概念に基づいた分類枠組みを導入し、幼児62名(年少20名,年中19名,年長23名)を対象に18回観察を行い、135事例を収集した。Kytta(2002) の機能的分類法に基づいて整理した結果、「掴みやすい/遊離物」が最も多く遊びを誘発していたことが明らかになった。また、アフォーダンスのレベルの分析から、アフォーダンスの知覚が遊びのきっかけを生み出し、アフォーダンスの利用により新たなアフォーダンスが形成されること、幼児は自然環境を否定的ではなく肯定的に体験していること、が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の対象である「リスクを伴う外遊び」は、新型コロナウイルスの感染不安があり、感染対策等で例年よりも保育者のストレスや負担が大きい中で、園に新たな取り組みとして求めることは極めて困難である。そのため当初の目的を、研究テーマと関連した範囲で、コロナ禍でも園の理解が得られやすい内容に変更し2つの研究を実施した。計画を通りの実施出来なかったという点を考慮し、やや遅れているという評価にした。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況を見ながら、当初の計画どおり、各園におけるリスクマネジメントの問題点を明らかにするための聞き取り調査を実施する予定である。実施が困難な状況が続く場合は、内容の一部を変更し、インター ネット調査や質問紙による調査に切り替える。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要で述べたように、新型コロナウイルスの感染不安がある中で、当初の計画を実施することが困難であったため、次年度使用額が生じた。来年度は,この額で,質問紙調査(インターネット調査を含む)を複数回実施する予定である。
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