研究課題/領域番号 |
18K02444
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鶴崎 俊哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (20197768)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 運動学習 / ハイハイ / 動作分析 / コード化 / 発達 |
研究実績の概要 |
令和2年度は,前年までに予定を消化できなかった縦断的研究を可能とするための研究協力施設の確保ならびに分析のための動画撮影を中心に研究を実施する予定であった。個人情報保護や撮影スペース,長期にわたる追跡調査のため研究協力に対し承諾を得ることは難しく,保育場面に参加しての現場職員との交流や実際の撮影場面のシミュレーション等を行うなど丁寧な説明を繰り返し,さらに乳児室立ち入りのために撮影者の検便を行った。その結果,保育園・こども園3施設から研究協力の承諾を得られていたが,新型コロナウイルス感染拡大防止処置により,各施設への部外者の立ち入りが制限されたため,既存で他の解析を進め英語論文として発表を行った。論文の内容は,腹部を床につけたままのずり這いを行ったか否かによって、腹部を床から離した四つ這いの安定までの時間が異なるという所見が認められたというものであった。 さらに一部ではあるが3歳から5歳の追跡調査を実施した。追跡調査には,DENVERⅡを用いたスクリーニングを用い,一部発達に遅れの疑いがある対象児が含まれていることがわかった。現在,ハイハイ動作の変化過程との検討を行い,発達に遅れの可能性がある幼児に関してはハイハイ動作の変化に関して観察される運動のバリエーションが少ないことも認められた。 また,コード化による動作分析手法を複数の研究協力者(大学院生ならびに学部生)と共有することで,撮影に関するマニュアル作成とともに分析手法のトレーニング法を工夫した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度の当初予定では,対象を80ケース超とするため動画撮影期間を延長ならびに研究協力施設の追加を検討していたが,新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から継続的な撮影ができなかった。一時,立ち入りが許可になり撮影を開始したケースもあったが,十分な撮影期間と頻度を得ることができなかった。 継続的な研究への協力が得られる保育園・こども園を3箇所確保し,各施設10ケースの動画撮影を行うとしていた。これまでに研究協力施設として3箇所に承諾を得られたが,施設の改修,対象児の不足や保護者の同意が得られない場合があったこと,転出の予定があったこと等により19ケースのみの動画撮影となった。また,この中には転出による研究参加中止ケースやインフルエンザ等の流行による一時中断ケースが含まれている。さらに年度末からは新型コロナウイルス感染拡大防止処置により,各施設への部外者の立ち入りが制限されたため歩行開始までのデータが取れないケースがあった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進め方として,新型コロナウイルス感染による社会的状況の大きく影響を受ける。撮影頻度を下げたり,横断的な分析対象動画撮影を行うなど可能な範囲でデータ収集を行う。 本研究で用いているコード化による動作分析手法では,観察項目が多く細かな分析が可能となる一方,日常的な使用については煩雑となるため,項目間の関連正当について既存データを用いてより詳細な分析を行い,分析手法の改良にも着手したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では,継続的な研究への協力が得られる保育園・こども園を3箇所確保し,各施設10ケースの動画撮影を行うとしていた。これまでに研究協力施設として3箇所に承諾を得られたが,施設の改修,対象児の不足や保護者の同意が得られない場合があったこと,新型コロナ感染拡大への対応により新たな動画撮影ができなかった。そのため撮影を行うための人件費が不要となり,次年度使用が生じた。 使用計画としては,追跡調査で使用する発達検査のセットおよび評価用紙の購入,動画撮影を継続するための人件費が増加する予定である。
|