研究課題/領域番号 |
18K02447
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
内田 勇人 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (50213442)
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研究分担者 |
篠原 光児 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (00206111) [辞退]
井上 靖子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (00331679)
喜友名 菜織 兵庫県立大学, 環境人間学部, 講師 (30780035)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者 / 生きがい / 世代間交流 / 家族構成 / 児童 / 日常生活動作能力 |
研究実績の概要 |
本研究は、児童養護施設における高齢者の学習支援が児童養護施設入所児童の心身の健康、生活行動に及ぼす影響について明らかにすることを目的として実施している。その一方で、新型コロナウイルスの影響は2022年度は若干軽減されたものの、協力を得る予定であった高齢者への感染リスクを鑑み、児童に対する学習支援等の実施効果に関する調査を行うことができなかった。そうしたことから、子ども等を対象とした世代間交流プログラムへの参加を希望する高齢者の基本的特徴を明らかにすることを目的として、日常生活動作能力(手段的ADL、社会的ADL、知的能動性ADL)や心身の健康状態等に関する調査を行った。調査の実施時期は、2022年9月から2023年1月であった。研究参加者として、兵庫県A市の老人大学に通う65歳以上者70名を選択した。無記名自記式調査アンケートを配布し回収した。調査内容は、基本属性(性別、年齢、配偶者の有無、同居形態、子の有無、孫の有無)、コロナ禍における精神的健康度(WHO-5)、日常生活動作能力(老研式活動能力指標)、基本チェックリスト等とした。分析の結果、日常生活動作能力の高さには、年齢が若い、慢性疾患の該当数が少ない、同居家族がいる、配偶者と同居している、体操・ストレッチを実践している、オーラルフレイルの危険性が低い、起床時刻が早い等が有意に関連していた。高齢者の日々の生活機能の高さには、家族や配偶者の有無といった他者との関わりや人間関係の存在が関与していることが示唆された。新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、今後、児童養護施設の入所児童およそ20名と高齢者との世代間交流事業を実施したいと考えている。その際は、高齢者の家族構成等の影響を考慮に入れて調査研究を進めていきたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 2022年度は、研究を十分に進展させることができなかった。最大の理由としては、新型コロナウイルスの感染拡大が継続していた中で高齢者と入所児童の世代間交流事業を実施することができなかった点にある。高齢者に対しては2022年9月から2023年1月にかけて老人大学に通う高齢者を対象に調査を実施する機会が得られたため、コロナ禍における手段的ADL、社会的ADL、知的能動性ADLといった日常生活動作能力や精神的健康度等に関する調査を行うことができた。調査を通して、高齢者の日々の生活機能の高さには家族構成が影響を及ぼしていることが示唆されたことから、これら特徴を勘案し、来年度、児童養護施設入所児童と高齢者の間の世代間交流事業を実施したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、一つの児童養護施設への調査協力を打診し、より多くの児童養護施設入所児童に対する高齢者による学習支援を進展させたいと計画している。研究の方向性としては、児童養護施設入所児童の心身の健康、生活行動に及ぼす影響について調査研究を進めたいと考えている。いまだ、新型コロナウイルスの感染拡大は収束しておらず、研究参加者の感染予防、健康を最優先し、児童と高齢者に対するアプローチは慎重に感染対策を厳密に取りながら進めたい。屋外での感染リスクは低いことから、世代間交流の場として屋外での活動を選び、児童の心身の機能の向上と高齢者ボランティアの社会参加の進展、精神的健康の維持向上に着目した研究を実施したいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、感染リスクが高い高齢者と入所児童との間の交流活動を計画することができなかった。これら調査を2023年度に実施する予定である。2023年度は、児童と高齢者に対する交流活動、両者へのアンケート調査等を実施する予定であるが、調査用紙、調査謝金、旅費(研究成果を発表する際の国内外の出張等)等の支出を予定している。
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