研究課題/領域番号 |
18K02449
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研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
金田 健史 白鴎大学, 教育学部, 教授 (00406232)
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研究分担者 |
木田 哲夫 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, 室長 (80419861)
東浦 拓郎 亜細亜大学, 国際関係学部, 准教授 (50436268)
中野 貴博 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (50422209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 二重課題 / 自動 / 課題習熟過程 / 注意処理資源 / 事象関連電位 / 反応時間 |
研究実績の概要 |
本研究では,二重課題の反復により生じる課題の習熟過程に着目し,運動技能の獲得に優れた児童期にみられる注意処理機能の特徴を検討することを目的としている.このため,運動課題における正確性を目標(ターゲット)の追跡パフォーマンスにより,また認知課題から得られた反応時間やエラー率によりそれぞれの課題を評価し,二重課題を反復した際に生じる二重課題それぞれのパフォーマンスがいかに変化するかを検討する.二重課題を遂行すると用いる課題を単一でおこなうよりもパフォーマンスが低下する二重課題干渉が生じることが知られている.本研究では児童だけでなく成人にも同様のパラダイムをおこなうことで成人と児童の課題習熟過程を検討し,さらにターゲットの追跡予測性を操作(ランダム追跡パターンと一定追跡パターン)することで生じる注意処理機能の違いについても検討している. 令和3年度は成人を対象とした二重課題の課題習熟過程を検討した.追跡軌跡が予想できる一定追跡パターンを用いた条件では,二重課題の反復により運動課題の正確性が二重課題の実施初期に比べ後期に高まったが,追跡軌跡が予想できないランダム追跡パターンではおこなった15セットを通じて課題の習熟が認められなかった.いずれの条件においても認知課題には課題の反復による向上は認められず,運動課題のみにパフォーマンスの向上が認められた. 現時点では児童における二重課題の課題習熟過程を検討するまでには至っていないが,児童においてみられる注意処理資源の配分などを検討することにより成人にはみられない注意処理機能の特徴が見つけられることで児童期における運動技能の獲得メカニズムを検討することができると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症への感染者の増減により学内施設への入構が制限されている状況が続いたため,児童を対象としたデータの収集ができなかったためである.このため,成人を対象に一定追跡パターンとランダム追跡パターンそれぞれの条件における測定は当初の予定通り進めることができた.このため,成人データについて運動課題,認知課題それぞれから得られたデータの解析を中心におこない,追跡パターンの違いにより課題習熟過程にみられる注意処理機能に違いが生じていることが考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は前年度まで入構が制限されていたため進められなかった児童データの収集に努めたいと考えている.2022年度も引き続き新型コロナウイルスの感染は続いているため,児童を対象とした実験においても感染予防に配慮しながら実験スケジュールを組んでいくことを計画している.本研究では二種類の二重課題を反復し課題の習熟過程を検討することから参加者の体調などに配慮しながら進めていこうと考えている.また,昨年度まで児童を対象とした測定がおこなえなかったことから,成人において実施にできた実験デザインについて精査しながら研究を進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度予定していた児童を対象とした測定がおこなえなかったこと,また新型コロナウイルス感染症への配慮により参加予定であった学会などがオンライン開催となったことなどが関係している.このため,次年度実験参加者への謝金や測定に関わる備品,消耗品の購入,ならびに論文校閲,学会参加のための旅費等での使用を計画している.
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