研究課題/領域番号 |
18K02453
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
荒牧 美佐子 目白大学, 人間学部, 准教授 (80509703)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 預かり保育 / 子育て支援 |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度実施した調査への協力者を対象とした追跡調査を実施した。調査内容は、在籍園の種別、在園時間、子どもの性別やきょうだい構成、子どもの「学びに向かう力」に関する項目(ベネッセ教育総合研究所、2012)等で構成されている。また、幼稚園及び認定こども園の幼稚園部に在籍している園児の保護者に対しては、預かり保育の実施の有無、利用の実態、利用理由、活動内容等についても尋ねた。第二次調査は2022年5月に実施し、1,346名分のデータを回収した(回収率46.3%)。うち母親が704名(52.3%)、父親が642名(47.7%)であった。また、男児が662名(49.2%)、女児が684名(50.8%)、幼稚園在籍が683名(50.7%)、保育所(認可外保育施設、小規模保育室を含む)が529名(39.3%)、認定こども園が134名(10.0%)である。得られたデータをもとに、第一次調査時点と第二次調査時点における各尺度得点の差を従属変数として、預かり保育の利用等による差がみられるか分析した。 分析の結果、預かり保育を必要としない群では、保育所群や預かり保育を必要としていた群よりも、1年間の子どもの自己抑制得点が伸びていること、また、より高い頻度で利用しているほど、自己抑制得点が伸びていないことが明らかになった。先行研究では、預かり保育の利用者の方が育児への負担感が高いという指摘があることから(荒牧ら、2007)、子どもの自己抑制スキルの高い場合には、親の負担感が低く、預かり保育をあまり必要としていない可能性が考えられる一方で、必要とする親や子どもへは、より慎重な対応が求められる可能性が示唆された。今回の分析からは、預かり保育の利用が、子どもの学びに向かう力を伸ばす効果は認められなかったが、同時に、預かり保育の利用がこうしたスキルの発達を妨げることにもならないことも確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
保護者を対象としたウェブによる第二次調査は予定通り実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査の範囲と同じ首都圏内の幼稚園における預かり保育等の実施状況について、園長への面接調査等を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大により、調査研究の見直しを行ったため、全体的な研究計画が1年ずつ後ろ倒しとなっている。最終年度の助成金は、幼稚園を対象とした預かり保育の実態調査実施に係る費用として使用する。また、調査結果をまとめて、学会等での発表を予定しているので、そのための参加費、出張費に充てる。
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