研究課題/領域番号 |
18K02458
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
那須 信樹 中村学園大学, 教育学部, 教授 (60300456)
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研究分担者 |
細井 香 東京家政大学, 子ども学部, 准教授 (90383405)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 保育教諭 / キャリアップ研修 / こども園 |
研究実績の概要 |
本年度は、「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」に基づいて実施されている「保育教諭」を対象として含む研修の実際とその特徴を明らかにするために以下の調査研究並びに報告を行なった。 (1)47都道府県におけるキャリアアップ研修の実態にかかる調査:処遇改善と連動した 「キャリアアップ研修」の実態をweb上で調査し、数量的に比較考察を行った。調査項目については、①研修一覧の有無、②研修実施機関の数、③委託の有無と委託数、④委託先、⑤実施主体、⑥受講料、⑦受講料のばらつき、⑧開催日数、⑨テキストの有無、⑩研修形態、⑪研修分野ごとの研修開講数・定員数・対象、⑫評価の仕組みの有無、⑬eラーニング実施の有無、である。 (2)NPO法人全国認定こども園協会関係者へのヒアリング調査:全国規模のこども園組織として、保育教諭の研修のあり方についての現状と課題、そして今後の展望についてヒアリング調査を行なった。 (3)学会における研究報告:(1)(2)の基礎的な調査結果を踏まえ、「保育教諭のキャリアアップ研修に関する研究」と題して、日本保育学会第72回大会(大妻女子大学)にてポスターセッションを行った。今回は、保育教諭のキャリアアップにかかる研修実態を明らかにするものであったが、保育教諭のみを対象とする研修はその存在を明らかにすることができなかった。そこで、全国の「保育者」に関するキャリアアップ研修にかかる実施状況をweb上に公開されている47都道府県の情報から数量的に明らかにしようと試みたが、保育教諭の受講実態の確認は難しいことが明らかとなった。今後その全数調査並びに受講者の職種(保育教諭・保育士・幼稚園教諭)が把握できる調査が期待されるところであるが、実態としては、多様性という名のもとに、全てが実施主体任せになっている現状が明らかとなり、保育教諭を意識した固有の研修内容の存在は確認できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度より所属校(勤務地)が変わり、予定していた保育教諭や自治体、こども園関連団体等を対象とした質問紙調査やヒアリング調査ができなくなった点がその大きな理由である。そのような状況の中、混迷を極めている保育教諭・幼稚園教諭・保育所保育士の研修ならびに処遇改善をめぐって、内閣府・文部科学省・厚生労働省合同による事務連絡「処遇改善等加算IIの研修要件について」が発出された(平成30年12月5日現在)。文書内において、「正式な加算要件を定める通知については、本年度内(平成30年度内)のなるべく早い時期に発出される予定」(( )内は筆者注)とされたが、令和元年5月15日現在、いまだその通知は発出されていない。 この「通知」の内容は、今後、本研究にも極めて大きな影響を与えるものであり、その内容を踏まえた上での新たなヒアリング調査ならびに質問紙調査の内容を再検討・実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの進捗状況を踏まえながら、全国47都道府県のキャリアアップ研修にかかる情報の精査とその研修実態をさらに詳しく明らかにしていく。加えて、今後の研究の推進方策として以下の4点を重点的に行なっていく。
(1)公私、幼稚園・保育所・こども園のセクトを超えた研修機会の確保による先駆的な取組みが実施されている秋田県や福井県、兵庫県や高知県などの取組み事例から、取組み上の工夫について明らかにすること。 (2)先駆的な取組みより、保育者としての研修内容の標準化と保育教諭として必要な研修内容を明らかにしながら、保育教諭としてのキャリアパス研修体系ならびに個々人の特性に応じた研修のナビゲートを可能とするシステム構築を図ること。 (3)保育職のキャリア形成における研修の目的と処遇改善にかかる議論の整理を行うこと。 (4)研修機会の公平性の確保と研修形態の多様化にかかる議論の整理・検討を行うこと。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度より所属校(勤務地)が変わり、予定していた保育教諭や自治体、こども園関連団体等を対象とした質問紙調査やヒアリング調査ができなくなった点がその大きな理由である。そのような状況の中、保育教諭・幼稚園教諭・保育所保育士の研修ならびに処遇改善をめぐって、内閣府・文部科学省・厚生労働省合同による事務連絡「処遇改善等加算IIの研修要件について」が発出された(平成30年12月5日現在)。文書内において、「正式な加算要件を定める通知については、本年度内(平成30年度内)のなるべく早い時期に発出される予定」(( )内は筆者注)とされたが、令和元年5月15日現在、いまだその通知は発出されていない。 この「通知」の内容は、今後、本研究にも極めて大きな影響を与えるものであり、その内容を踏まえた上での新たなヒアリング調査ならびに質問紙調査の内容を再検討・実施する予定である。主に、ここでの調査旅費、質問紙等の集計分析等に予算を使用していく計画である。
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