本研究は、福祉政策の拠点としての小学校の在り方を探るために、無償制就学前教育の拡大を進めるカナダ・オンタリオ州の事例を分析した。オンタリオ州の全日制キンダーガーテン政策の特徴は、0~8歳の子どもを対象とするカリキュラムの策定、教育省による行政一元化、初等学校教員と保育専門職によるチーム制の導入の3つに整理される。本研究では特にチーム制導入後の10年間に焦点をあてて政策実施状況を調査した。調査研究の結果、2つの専門職の役割と分担、児童のアセスメントにおける協働、新たな継続専門学習制度、他の州への波及効果などについての知見を提示した。
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