研究課題/領域番号 |
18K02476
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
石川 由美子 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (80282367)
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研究分担者 |
石川 隆 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50320601)
齋藤 有 聖徳大学, 児童学部, 講師 (60732352)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 絵本の読み合い遊び / fNIRS / 関係発達 / 前頭前野 |
研究実績の概要 |
2018年度から絵本の読み合い遊びが育てる子どもの関係発達についての実証研究を行ってきた。その2年目にあたる。当初の研究目的に加えて,読み合い遊びのフレーム自体に関わるデータの蓄積,その環境設定が引き出す行動の予測と検証が,脳活動,および発達調査などの生理データおよび発達調査データと深く関連すると考え,2年目からは先に述べた研究資料も蓄積してきた。関係発達に影響すると考えられる間主観に関わる生理データおよび情動・言語発達に関わる部分はfNIRSによる前頭前野の脳活動計測,さらに関係および認知発達への影響は保育者によるKIDS調査票等で新規データおよび継続データを収集してきた。 2019年度は,読み合い実践を行っている園および特別支援学校で57名の計測を行う予定であったが,COVID19の影響で学校,園での計測が困難となり,CVID19の鎮静化を待っている状況である。KIDS調査に関しては,ほぼ遅れなくデータの収集ができている。 途中段階ではあるがfNIRSによる脳活動のデータでは以下のような傾向か認められる。 絵本課題として,かがくいひろしの「だるまさんが」,「だるまさんと」,おくむら けんいち/文,マッティ・ピックヤムサ/絵「めとめがあったら」から3場面づつ抽出,9刺激を作成した。1場面ごとに10秒間のインターバルをおいて,読みを開始する設定とした。 これらの課題から,言語活動で活発となる左前頭前野の活性は3冊とも認められた。めとめがあったらでは,右前頭前野の活動も認められる傾向にあった。解釈については,引き続きデータの蓄積と分析・評価を行った上で検討を深めたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度,研究代表者の海外での研修が決定し,一定期間研究が進められなかったこと,また,読み合い遊び実践後のfNIRSの効果計測時点で,COVID19のため,保育園および特別支援学校が休校措置となり計測ができなくなってしまった。また、協働研究者の産休・育児休暇等のため,当初,予定していた幼稚園でのデータの収集についは,計画を見直す必要性が生じてしまった。 また、昨年も検討すべき課題として挙げているが,子どもの脳計測が現場で行いやすい日立のfNIRSを用いて行ってきたが,それでも,計測時の体動でデータとして利用できるものが少なくなってしまう。子ども研究を臨床の場で行う場合の機器の開発というものが生理データを利用する研究の場合,重要な観点となると感じている。
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今後の研究の推進方策 |
実際の現場での実践を土台とした研究の場合,今回のようなCOVID19のような問題が生じると継続して実践するということが難しくなる。また,現場で実際に協力してくださる保育者や教師の移動といった問題もあり,思った以上に継続データを取るといったことが難しいことを実感した。 COVID19の影響で,継続データが当初の予定数および予定期間を満たすことができないと予測されるため,今後はその状況を見て共同研究者と検討して決めていく。 当初は,fNIRSやKIDSデータの変化を追うことで,関係発達の実証研究を中心に考えていたが,読み合い遊び事態の環境の構造を,先に述べた読み合い遊びのフレーム自体に関わるデータの蓄積,その環境設定が引き出す行動の予測と検証の観点から,詳細にしていくことにも重点を当てたいと考えてる。共同研究者である石川隆氏には遊び環境のもの・人関係の視点から,また齋藤有氏には絵本の質問調査をまとめてもらい周辺情報としていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の影響により,保育園,学校等が休校となり,予定していた計測ができなくなってしまった。それに伴って発生する実験補助やデータ打ち込み補助,謝金などの費用が2019年度は使用することができなくなった。2019年度できなかった作業に対する費用に充当していきたい。また,新たに調査,活動資料の整理・分析にあたる人件費等に充てる予定である。
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