研究課題/領域番号 |
18K02479
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
内海 緒香 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 特任講師 (60735306)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 保育の質 / エフォートフルコントロール / 自己制御 / 幼小接続期 / 養育 / 幼児教育 / モニタリング / 見守り |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼小接続期の養育者・保育者・教師のモニタリングと子どもの自己制御との関連を調べることである。年度前半に小学校教師2名に予備調査として非構造化面接を行い、保育者のモニタリング尺度(内海、2018)項目の内容的妥当性を確認してもらったところ、小学生低学年においても共通する部分が多いとの意見を受けた。そこで、教師のモニタリング尺度を作成するにあたり、保育者のモニタリング尺度作成と同じ手続きを取ることとした。2018年度後半に郵送で都内の公立小学校へ質問紙を配布し、返信用封筒にて返送を依頼した。調査対象者は小学1年学級担任である。30校発送し、17名回収。回収率は56.7%であった。基本情報(教師の年齢、教職歴、担任している学級規模)とともに、児童の安心/安全(心理的健康、身体的健康、安全な学校生活のことを指すと定義した。)を守るための、幼小接続と学校生活上(時間帯・場所ごと)の取り組みや配慮について自由記述で回答してもらい、KJ法で分類した。その結果、学校現場でも保育の場と類似した行動や配慮のカテゴリーが抽出され、特徴として基本的生活に関する配慮や身体的な側面への配慮がみられ、新しい学校生活に対応するための事柄や内容が多いことがわかった。小学1年生の時期は、レディネス、予備訓練的、学校システムに徐々に慣れてもらう、という視点が強いせいか、授業や身体的安全に関する工夫などに比較し、情緒の安定など安心に関する見守り(「安心できるよう朝笑顔で迎える」)のような心理的配慮の記述は少ないことが明らかとなった。この研究成果は2019年度日本教育心理学会で発表する予定である。並行して、就学前の子どもを持つ保護者を対象に半年を置いてアンケート調査(2波・縦断)を実施し、養育者のモニタリング、他の養育行動、自己制御、学びに向かう力との間の関連を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画では、教師のモニタリングを測定するため、小学校教師と保育者への面接調査、並びに調査会社のモニターサンプルを用いた教師版モニタリング尺度開発を予定していたが、教師への面接調査を受けて実施計画を変更した。研究方法と手続きを変更したことにより、計画を前倒しした部分と次年度に持ち越した部分がある。総じて順調である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究成果をもとにモニタリングを測定する項目を選定し、小学校低学年の担任を対象にアンケート調査を実施、教師のモニタリング尺度を開発する。前年度実施した縦断調査データを分析する。これらの結果をもとに、年度後半(2020年1月)に、年長児の保護者を対象とした、質問紙法によるパネル調査を計画して実施する。 WEBページは2019年度に構築公開を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より参加した学会の数が減ったため。
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