研究課題/領域番号 |
18K02482
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
高木 真人 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (10314303)
|
研究分担者 |
佐久間 治 九州工業大学, 大学院工学研究院, 嘱託教育職員 (80251627)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | こども / 外遊び / 保育施設 / GPS / 密度 / 移動距離 |
研究実績の概要 |
2021年度は、2020年度に調査した大分市のDH園における異なるタイプの遊び場での1時間あたりの移動距離について比較分析し、日本建築学会の地域施設計画研究シンポジウムにおいて発表した。 ①遊び場のタイプ別にみた時間あたり移動距離:ほとんどがオープンスペースで構成された〈芝生広場〉、自然豊かな里山〈山の遊び場〉、砂場や遊具が多く配置された〈園舎前の園庭〉、という3つの異なるタイプの遊び場において比較した。その結果、〈芝生広場(低密度)〉→〈芝生広場(高密度)〉→〈山の遊び場〉→〈芝園舎前の園庭〉の順番で時間あたり移動距離が多かった。 ②遊び内容と時間あたり移動距離の関係:オープンスペースが充実すればボール遊びやかけっこのような動的な遊びが多くなるため、〈芝生広場〉の時間あたりの移動距離が多くなったとものと考えられる。砂場や遊具の多い遊び場では水平方向の動きの少ない遊びが多くなるため、〈芝園舎前の園庭〉の時間あたりの移動距離が少なくなったものと考えられる。〈山の遊び場〉に関しては、複数の遊び場が道によってつながれて回遊性のある構成となっていたが、こうした構成でなければ時間あたりの移動距離はもっと少なくなったのではないかと考える。 ③密度と時間あたり移動距離の関係:〈芝生広場〉については、5歳児だけ遊んでいる低密度時と3,4,5歳児が一緒に遊んでいる高密度時を比較したところ、高密度時には時間あたりの移動距離が大きく減少していた。低密度時には園庭全体に渡って動的な遊びが多くみられたが、高密度時には園庭のトラック内では一定の密度を保ったまま動的な遊びがみられたもののトラック外ではより混雑していたため、時間あたり移動距離が減少したものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年7月~2022年1月は海外の大学に派遣されていたため研究を中断し、また帰国後もcovid-19の影響により保育施設での調査は実施できなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの分析結果から、保育施設園庭のこども密度の変化が行動量(移動距離)の変化に与える影響は、特にオープンスペースにおいて大きいという結果が出ている。オープンスペースでは、ボール遊びやかけっこなどの動的遊びが行われるため、一人あたり面積を多く必要とし、砂場や遊具で遊ぶ場合には、それほどの面積は必要としない。オープンスペースの適正な一人あたり面積は7~10㎡ではないかと推定しているが、砂場や遊具などそれ以外の遊び場における一人あたり面積を算出して、これを組み合わせることにより園庭の適正な計画が可能になっていくであろう。 また、低密度から高密度になったことにより他の遊び場へ移動しなければならなくなるのは5歳児ではなくむしろ4歳児や3歳児など低年齢のこどもであると予想されるため、covid-19が収束した後に低年齢のこどもについての調査を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年7月~2022年1月は海外の大学に派遣されていたため研究を中断し、また帰国前後もcovid-19の影響により保育施設での追加調査は実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2021年度に実施できなかった年齢別にみた比較調査を次年度にcovid-19が収束してから実施する予定であり、その費用として使用する。
|