研究課題/領域番号 |
18K02483
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石垣 文 広島大学, 工学研究科, 助教 (60508349)
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研究分担者 |
佐藤 将之 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (70454080)
下村 一彦 東北文教大学, 人間科学部, 准教授 (40389698)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 屋外 / 遊び / 物理的環境 / 使用者評価 / 整備 |
研究実績の概要 |
本研究は、園庭の環境整備を行ってきた施設を対象に、環境整備のプロセスと物理的環境の変化を実態把握し、整備後の園庭に関する幼児と保育者の評価を明らかにすることを通じて、園庭環境創造モデルを考察することを目指すものである。 30年度は、近年園庭の環境整備を行っている6施設の視察を行い、そこから体を動かす環境の充実へと保育士、教育の専門家、建築士が協働で環境整備を行ってきた2施設に対象を絞り、A.園庭の環境整備のプロセスと物理的環境の実態把握調査、B.幼児による園庭環境の評価調査、C.保育者による園庭環境と環境整備の評価調査、を行った。主な結果は下記のとおりである。 1)園庭の全体構成をみると、園庭中央に築山が配置され、その周囲には園庭を回遊するコースが設けられている。このコースの周囲に各環境要素が配置されており、環境要素相互への行きやすさや視線の通しやすさが確保されたことが特徴として挙げられる。各環境要素は、難易度が段階的に設定された複数の環境要素がある、遊びが連続的に展開しやすい環境要素の配置関係がある、といった特徴もあり、それにより子どもが発達に応じて遊ぶ場を選択できるように配慮されている。 2)使用者の環境評価を通じて、幼児の評価が多く集まったのは、登り降りとごっこ遊びが行える環境である。また、難易度が段階的に設定された環境要素の存在により、自分より年長の子等が遊ぶ姿を見て、憧れや挑戦の気持ちをあたためている様が子どもへのヒアリングから把握された。 3)保育士の評価をみると、個々の発達に応じて挑戦できる、遊びが展開しやすい、子ども同士の関わりが誘発されやすい、といった特徴を持つ環境要素が評価される傾向にあることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査を実施した施設数は計画に満たなかったものの、調査を実施した施設においては調査Aのみならず、翌年度に予定していた調査B,Cまでを実施することが出来たためである。
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今後の研究の推進方策 |
まずは30年度に調査対象とした施設にて、調査Bに関する追加調査を行う。理由として、30年度は冬季の調査となったため、幼児による環境評価に季節性が影響していると考えられる。そこで今後は夏季の使用者の環境評価に関する調査を行ってデータを充実させ、既に実施したデータと併せて再分析および考察を行う。 次に、ビオトープの充実に重点を置いて整備している施設を対象とした調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、30年度に調査Aのみに関して6施設程度を対象に行う予定であった。しかし調査実施手順を再考し、実際には調査対象施設数を予定より絞り込み、2つの施設に対して調査A・B・Cを実施した。そのため、調査に関わる費用が計画より少額となり、次年度に繰り越し分が生じている。繰り越し分は、31年度に行う調査Bの追加調査で使用する計画である。
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