研究課題/領域番号 |
18K02483
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石垣 文 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (60508349)
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研究分担者 |
佐藤 将之 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70454080)
下村 一彦 東北文教大学, 人間科学部, 准教授 (40389698)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 屋外 / 遊び / 物理的環境 / 使用者評価 / 整備 |
研究実績の概要 |
21年度は、近年園庭の環境整備を継続的に行っている2施設に対して整備の方針やプロセス、整備の成果と課題について資料収集やヒアリング調査を実施した。また、19年度冬期に事例調査を行った園のビオトープ系園庭に対し夏期の評価調査を行った。更に公園を活用して屋外環境の充実を図る1施設への訪問を行い、保護者および地域住民への公園環境の受け止めに関する調査を行った。 主な結果としては下記の点を捉えている。 1)ビオトープ系園庭では、園庭環境の経年変化や子どもの興味・意向を契機に、専門家および大学生による支援をうけながら園庭整備を継続している。その過程で、近隣園との園児や保育者との相互交流がもたれ、また整備の経験が保育者養成の教育面にフィードバックされているといった園庭整備に限られない活動の循環がみられていることが分かった。 2)運動系園庭では、園庭の点検整備や子どもの園庭での姿に関する議論が保育者間で日常的に行われるようになっており、それらを通じ、専門家の支援を受けながら行う保育者の園庭整備において自主性が高まるという変化が見られている。それに留まらず、保育者が主体的に保育や屋内環境の整備、また労働環境の改善に関わる能力が醸成されている姿が捉えられた。 3)公園を活用して屋外環境の充実を図る施設では、保護者と地域住民が園庭となっている公園の治安の良さや清潔さを好ましく感じている。更に保護者には公共空間としての公園に主体的に関わる意識が生じ、また園庭整備を地域とのつながりの契機として前向きに捉える意識が見られた。他方で、公園が園の空間のようで入りにくいという回答が一定数見られたものの、実際の課題というよりは、保育園の取り組みを評価する中での懸念と認識できた。ただし、大人にとっても居心地の良い公園という視点や、子どもに寛容な地域を保育施設だけに依存することなく構築していくことの重要性も指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響があり、予定していた調査が完了できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
まずは過年度に訪問調査のできなかった施設にて、経年の整備状況の変化を把握するための調査を行う。これらを基に施設の環境整備プロセスに関する分析を行い、環境整備の方法に関する分析考察を行うとともに研究のとりまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により予定していた調査の全ては実施することができなかったため、次年度に繰り越し分が生じている。繰り越し分は、22年度に行う訪問調査および報告書の作成で使用する計画である。
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