研究課題/領域番号 |
18K02486
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
温水 佳世子 宮崎大学, 医学部, 歯科医師 (20648117)
|
研究分担者 |
永田 順子 宮崎大学, 医学部, 講師 (50264429)
山下 善弘 宮崎大学, 医学部, 教授 (30254634)
井川 加織 宮崎大学, 医学部, 助教 (90423722) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 小児がん / 晩期合併症 / 短根 / 欠損歯 / 唾液 |
研究実績の概要 |
近年小児がんは70%以上で長期生存可能になったが、治癒後も大半が成長障害や免疫・内分泌障害などの晩期合併症を伴うことが知られている。しかし、口腔顎顔面領域における晩期合併症への認知度は低く、その実態や要因、患者の生活に及ぼす影響、治療効果などは不明で、長期的フォローアップはほとんど行われていない。そこで、小児がん治療経験者における口腔顎顔面領域合併症の実態を調べ、がん治療の詳細との関連を調べるとともに、口腔管理を進めながら課題を抽出し、小児がん治療経験者の口腔育成に必要な管理プログラムを作成することを目的とした。 当院に通院・入院歴のある小児がん経験者および小児がんに準ずる治療経験者67名を対象とした。病名は急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、神経芽腫、髄芽腫など13疾患。治療は化学療法のみが64%、放射線併用が35.7%、造血幹細胞移植が25%であった。資料として、口腔管理に記録した診療録、口腔内写真、顔面写真、エックス線写真、口腔模型を用いた。 顎顔面領域疾患として、約85%に単根歯を認め、そのうち40%は中等度以上の単根を認めた。また、80%以上で唾液分泌の低下、歯垢や歯石などの口腔衛生不、および咬合不正を認め、咬合力などの顎口腔機能が低いことも示された。水平埋伏智歯を有する頻度も高く、将来的に抜歯が必要と考えられた。 がん治療周術期の口腔ケアの必要性についてはかなり知られるようになったが、周術期だけでなく、大半の患者でがん治療寛解後の晩期合併症に対する歯科的管理が必要であることが示された。これらに対し、管理プログラムを作成し、患者に試用して検証を行っている。また、口腔細菌叢について、現在PCR解析を行い、検証を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究結果をまとめ、論文執筆中である。患者の管理プログラムを作成し、検証を行っている。並行して、口腔細菌叢についてさらに詳細な検討も進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
論文投稿後、一般市民への啓発活動を開始する。作成した患者の管理プログラムを新たな患者に適用し、検証をすすめる。口腔細菌叢についてRT-PCRを用いてさらに詳細な検討を進めており、論文にまとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
発注した物品の納入が遅れたため、次年度使用とした。
|