研究課題/領域番号 |
18K02488
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
田中 浩司 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (50535036)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 同僚性 / 実践知 / 協同的活動 / 保育カンファレンス / インタビュー |
研究実績の概要 |
本研究は、保育者の同僚性という観点から、幼稚園・保育園において協同的活動を援助する保育者の専門性形成モデルを構築することを目的とする。 2019年度は、研究2年目として、保育園年長クラスを担任する男性保育者に着目し、保育観察及び、保育終了後の担任へのインタビュー、4歳児・5歳児クラス合同での保育カンファレンスの観察を行った。フィールドエントリーの期間は、2019年10月~2020年2月まで、観察及びインタビューは週1回の頻度で実施した。 すでに、4歳児クラス担任、5歳児クラス担任、主任保育者とで行われた保育カンファレンスの発話データの分析を終えている。そこでは、2019年の10月から12月にかけて、4歳児クラス・5歳児クラス合同で行われた「芋掘り遠足」に向けての協同的活動に着目し、保育カンファレンスの場における保育計画の立案と修正過程の分析をおこなった。その結果、グループ意識の希薄な子どもたちに、仲間と共通の目標を持って欲しいという保育者の意図と、なぜグループで1つの作業をおこなうのかという、子どもにとっての活動の目標を繰り返し確認する中で、保育計画が修正されていく過程を見出すことができた。また、保育カンファレンスの中で、ベテラン保育者が若手保育者に対して、活動の意図を明確にするだけでなく、子どもの思いを大切にした援助のあり方を継承していく過程を見出すことができた。 なお、上記の成果は2020年度中に学会発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
保育園における保育観察・保育者へのインタビューは予定通り行うことができた。ただし、2020年3月より新型コロナウィルス感染防止のため、フィールド研究を中断することとなり、当初予定していた年度を振り返るインタビューは実施できなかった。そのため、2020年度も継続してフィールド研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年4月以降も、継続してフィールド観察とインタビュー調査を行う予定である。ただし、現状、フィールドエントリーは困難な状況にあり、状況を見ながら補足的なデータ収集を行うこととする。 また、研究途上において、保育者の所属感が重要な要素となることが見出されたため、現在は、乳幼児教育における所属感の役割に関連する文献研究を並行して行っている。2020年度中の学会誌掲載を目指して執筆中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初支出を予定していた人件費を使用しなかったため。また学会参加費、旅費が予定よりも少なくなったため。
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