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2022 年度 実績報告書

逆境にある子どものレジリエンスを育てる場としての「放課後児童クラブ」の改善策

研究課題

研究課題/領域番号 18K02489
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

松嶋 秀明  滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (00363961)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード放課後児童クラブ / レジリエンス / フィールドワーク / 社会情動的スキル
研究実績の概要

本研究では、貧困や被虐待経験など、逆境的でリスクのある生活をおくる子どもの「レジリエンス」を育てる場のひとつとして「放課後児童クラブ」に注目した。クラブにおける子どもの生活を質的な方法によってにとらえ、研究者と指導員との協働をとおして、当該クラブにおける実践の質の改善を目的としてきた。ある民営の放課後児童クラブでのフィールドワークや、指導員へのインタビューをおこなった。その結果、このクラブのもつ、外遊びが中心で、クラブ内の行動の制約のすくない実践のなかでは、脆弱性をかかえる子どもであっても、いきいきと、主体的に活動に参加できていることが明らかになった。これは指導員が最初からできていたことというよりも、実践を試行錯誤するなかで子どもとの相互作用のなかでみいだされていたことがわかった。ただし、その一方で、子どもたちの衝動的な暴力や、規範からの逸脱が、子ども集団のなかでのいじめにつながることもあった。こうして排斥された子どもがさらなる逸脱行動にはしるという悪循環もみられた。これは子どもだけの要因でおこっていることではなく、例えば、職員がいじめなどのトラブルに適切に介入することができないことや、他の児童の安全をまもる観点から、暴力をはたらく子どもの行動を制限せざるをえないといったように、職員の関わりが影響していることもあった。集団内でみられるトラブルへの対処ができない場合には、そうした「問題」の原因が、脆弱性をもつ子ども本人の「障碍」とからめて語られることも多かった。以上のことから、子どものレジリエンスを育てるためには、脆弱性をもつ本人の特性そのものというよりも、クラブの物的環境や、子どもの関係性を育て、葛藤を解決していくための知識の蓄積が重要であると示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 放課後児童クラブ支援員はどのように子どもをほめているか2023

    • 著者名/発表者名
      松嶋秀明
    • 雑誌名

      人間文化 : 滋賀県立大学人間文化学部研究報告

      巻: 54 ページ: 53-63

  • [雑誌論文] 教師は自校の「文化」をどう捉えているか─教師が語る学校文化─2022

    • 著者名/発表者名
      別所 崇、松嶋 秀明
    • 雑誌名

      人間文化 : 滋賀県立大学人間文化学部研究報告

      巻: 53 ページ: 27~32

    • DOI

      10.24795/nb053_027-032

  • [学会発表] 遊びのなかで子どもの主体性はいかに現れるか?-「放課後児童クラブ」における遊びのつながりの分析2023

    • 著者名/発表者名
      松嶋秀明
    • 学会等名
      日本発達心理学会第34回大会
  • [学会発表] 発達心理学における社会物質性アプローチの提案ー混迷する時代において私たちはいかに新たな活動を創出できるのか?2022

    • 著者名/発表者名
      「発達心理学研究」編集委員会・松嶋 秀明・仲嶺 真・川床 靖子・岡南 愛梨・北本 遼太・広瀬 拓海・川野 健治
    • 学会等名
      日本発達心理学会第33回大会
  • [図書] 心のなかはどうなっているの?2023

    • 著者名/発表者名
      日本青年心理学会、若松 養亮、大野 久 、小塩 真司、佐藤 有耕、平石 賢二 、 三好 昭子、山田 剛史
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      福村出版
    • ISBN
      9784571230660

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公開日: 2023-12-25  

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