• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

戦前の日中両国における保育所の成立と展開に関する比較史研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K02491
研究機関日本大学

研究代表者

日暮 トモ子  日本大学, 文理学部, 教授 (70564904)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード保育所 / 幼稚園 / 母親 / 子育て意識 / フレーベル / モンテッソーリ / 養育の社会化 / 幼小連携
研究実績の概要

本研究の目的は、戦前の日中両国における保育所の成立と展開にみられる特徴を、近代以降、育児の主たる担い手とされた母親の役割の変容から明らかにすることである。両国は、海外から幼稚園制度を導入し、その一方で、貧民や労働者の子弟のための保育所制度を構築、発展させていった経緯がある。福祉事業としての保育所制度の成立及び展開の過程において、教育事業としての幼稚園制度の展開との相違点や、家庭における母親の役割についての語られ方について、比較史の視点から検討するものである。
期間全体の業績としては、日中両国の保育制度史の先行研究、専門家から聞き取り、現地調査から、戦前の両国におけるフレーベル式とモンテッソーリ式の保育思想の展開の違いを捉えることができた。また、戦前の両国の就学前制度は幼保二元体制がとられていたが、戦前中国の保育事業の展開では、教育的機能とともに福祉的機能を併せもちながら発展してきた保育施設が存在し、それが戦後の保育制度の展開へと継承されている点があることを確認した。さらに、戦前の日中両国での子育て環境におけるメディアが少なからず、両国の家庭教育、母親の子育て意識に影響を与えていたことが分かった。
近年、家庭の経済的格差によって就学前段階での幼児の学びに差が生じないよう、日中両国ともに子ども一人ひとりの発達や福祉的側面を重視した保育制度・子育て支援制度改革が進められている。とくに中国の場合、戦後初期の国家の再建期において、家父長制の家族制度の廃止、男女平等が提唱される中で、しだいに女性の就労や子育てに対する支援が課題となり、それがその後の幼稚園・保育所制度の整備へとつながっていった経緯が認められた。婚姻形態の変化、女性や母親の就労の拡大、経済復興などを背景に、家庭や社会のニーズに応じた、福祉的側面がより強調された様々な就学前保育・教育施設が誕生することになったと考察した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] 香港教育大学/陝西学前師範学院(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      香港教育大学/陝西学前師範学院
  • [雑誌論文] (図書紹介)劉麗鳳著『中学中退:中国農村中学校の生徒と教師のエスノグラフィー』2023

    • 著者名/発表者名
      日暮トモ子
    • 雑誌名

      アジア教育

      巻: 17 ページ: 133-134

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 中日新任教師培訓的現状和挑戦ー以実現可持続発展教育為中心ー2023

    • 著者名/発表者名
      日暮トモ子
    • 学会等名
      香港比較教育學會2023 年度學術年會
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本和中国対接受“新教育”態度的比較2023

    • 著者名/発表者名
      日暮トモ子
    • 学会等名
      教育現代化道路的歴史比較研究 国際学術研討会(北京師範大学)
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi