研究課題/領域番号 |
18K02492
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
福田 一彦 江戸川大学, 社会学部, 教授 (20192726)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 睡眠負債 / 社会的時差ボケ / 発達 / 思春期 / 睡眠習慣 |
研究実績の概要 |
東京都足立区の未就学児(5歳児)、小学4年生、中学2年生を対象にして、質問紙により睡眠習慣を調査した。平日の起床時刻については、5歳児、小学4年生、中学2年生の間に大きな違いは認められなかったが、平日の就寝時刻に関しては学年差が顕著で特に中学2年生において極端な後退が認められた。5歳児については、平日に比較して休日に起床時刻が後退する傾向を示すものの他の学年と比べるとそれほど大きな後退ではなかった。一方で、就寝時刻は平日と週末での差はほとんど認められなかった。小学4年生でも週末に起床時刻の後退が認められ、それに比較すると昇進時刻の後退は顕著ではなかった。中学2年生においても同様に平日に比べて週末で起床時刻の後退が顕著に認められたが、他の学年と比較して、後退の程度が著しかった。就寝時刻の週末での後退は顕著ではなかった。起床時刻と就床時刻のズレの大きさ(最大値と最小値の差)について検討すると、起床時刻については、5歳児、小学4年生、中学2年生のいずれの学年でも平日・週末すべて7日間を対象にした場合と、平日のみを対象にした場合では、週末を含めた場合に顕著に大きくなっていた。一方で、就寝時刻については、どの学年でも平日のみの値と週全体の値との間に大きな差は認められなかった。つまり、睡眠の時刻に関するズレ、つまり不規則性は、主に、起床時刻で、しかも、平日と週末との生活習慣の差によって起こっていることが明らかとなった。また、この週末の起床時刻の後退は、中学生で非常に顕著であることが分かった。中学生になり思春期を迎えると就寝時刻が極端に後退し(2時間以上)夜間睡眠の時間が非常に短縮し、平日の睡眠負債を週末の起床時刻の後退(朝寝坊)で補おうという戦略をとっていると考えられるが、この事は、生物時計の乱れを引き起こしいわゆる「社会的時差ボケ」の状態を作り出している事が明確となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としていた東京都足立区において調査を行い、保育園の昼寝の中止の影響を調べるためのデータを入手している。分析はまだ途上だが、今後、本来の研究目的に沿った分析を更に加えていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在入手したデータの分析をすすめるとともに、他の環境要因(特に照明環境)や食事や入浴の影響などについてデータ収集や分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィリップス・レスピロニックスのアクチウォッチが当初予定よりも安価で導入できたため。
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