研究課題/領域番号 |
18K02498
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
岩崎 美智子 東京家政大学, 家政学部, 教授 (90335828)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メンタリング / 守姉 / 誇り / 地域社会 / 保護司 |
研究実績の概要 |
本研究は、当初令和2年度までの計画であったが、コロナ禍によって予定していた国内外施設や関係者への聞き取り調査と、先進的な取り組みを行なっている自治体・団体への訪問調査を実施することができず、研究期間の延長を願い出て認められた。 令和3年度には調査実施を期待したが、緊急事態宣言が出されたこともあって、依頼していた国内調査は延期となり、海外調査は渡航の予定が立たないことから断念した。そのため、「守姉」の機能の考察に加えて、新たにメンタリング・システムの一形態としての保護司の活動に注目し、「守姉」との共通点・相違点に着目した聞き取り調査を行った。 「守姉」については、貧しい家庭で多くのきょうだいとともに暮らしている自分に自信がない少女が、守子の祖父から特別な扱いを受けることによって「個の承認」を得たこと、また、守姉の経験を評価されて地域の祭りの重要な役に選出され、務めを十分果たしたことによって「誇り」を獲得していく過程を分析することができた。 保護司への聞き取り調査から明らかになったことは、①保護司になったきっかけは先輩保護司からの誘いが多いこと、②対象者と保護司とのかかわりは継続的定期的だが期間限定的であり、その関係は対象者から見れば「隠したい」ものである、③保護司の役割は、対象者の「声」をひとりのおとなとして聴くことと、対象者の生活世界を社会へと開くこと、④保護司が対象者と同地域に居住することは、メリットと同時に困難もあること、⑤保護司をしていることの意義は、対象者と保護司両方の内面と関係性が変化していく「相互変容」にあるという5点であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発出されたことによって、予定していた国内外の調査がすべて延期となったことや、研究代表者が学科のコロナ対応に追われるなどの理由によって、計画していた研究が遂行できなかった。また、メンタリング・システムの一形態としての保護司活動に注目したが、先行研究のレビューと4名のインタビューのまとめはしたものの、論文執筆という研究成果の発表に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の新型コロナウイルス感染状況にもよるが、令和4年度は海外調査は断念し、国内調査を可能な限り実施したい。ただし、調査が実施できない可能性もあるため、文献や公開されているデータをもとに、守姉研究のデータ再読み込みと研究成果取りまとめを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、予定していた海外や国内遠方への調査がすべて延期(中止)となったため、調査に使用する予定だった費用(海外渡航費用を含む旅費、謝金など)が残った。 そのため、令和4年度は、感染状況が改善すれば沖縄での追加調査を実施したいので調査旅費等に研究費を使用する。状況が改善しないようであれば、電話によるインタビューを実施し、研究費は文献・資料の購入に充てる予定である。また、最終年度であるため、研究成果報告書を作成するので、印刷代や配布のための郵送料として使用する予定である。
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