令和5年度はこれまで得た行動観察データの分析をしつつ、意思決定支援行動についての質問調査を行った。行動観察ではこれまでの観察結果を分析し、子どもと親の行動を分類した。また質問調査では、中学生―保護者ペアを対象にしたWeb調査を行い、中学生の子どもが幼児であったころの母親の意思決定支援行動と現在の意思決定能力について中学生及び母親それぞれが評価した。 研究期間全体を通して、意思決定に関わる複数の行動観察と質問調査を行った。行動観察についてはコロナウィルス感染対策により大きな影響を受けたものの、意思決定を行う子どもとその支援を行う保護者の行動を観察することができた。予備観察3ペア、本観察19ペアに留まったものの、幼稚園児同とその保護者が5つの状況での服の着せ替え課題を行っている際の母子の相互作用の様子を観察することができた。またこの他にも2,3歳の幼児の意思決定時の母親の発話、保育園児の共同意思決定行動と大人の介入の観察、大学生の集団意思決定過程の観察を行った。 質問調査は複数の対象に対してWeb調査、紙面での調査を行った。幼児の母親を対象として幼児への意思決定支援行動および意思決定に対する動機(意思決定支援観)について調査から意思決定支援観には「親としての願い」「選択の制限」・「親への従順」・「子供との妥協」・「子供に選ばせる理由」の5つの因子があることが示された。また保育者の幼児への意思決定支援行動についてのWeb調査から因子分析の結果「子供主体の支援因子」と「保育者視点の支援因子」の2因子が抽出され、信頼性・妥当性を検討した。小学生の意思決定行動の育成に関わる両親の働きかけに関するWeb調査、中学生とその母親を対象とした幼少時の意思決定支援行動と現在の意思決定能力に関するWeb調査、などを行った。
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