研究課題/領域番号 |
18K02502
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
後藤 めぐみ (赤塚メグミ) 常葉大学, 保育学部, 講師 (30709217)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 被虐待児 / 漢字の読み書き学習 / 学習方略 |
研究実績の概要 |
2020年度は、放課後児童クラブに在籍する小学生132名を対象に、家庭学習における動機づけと学習方略、および学習環境に関する質問紙調査を行った(検討1)。あわせて、児童心理治療施設に在籍する児童4名を対象に、漢字の読み書きに関する学習支援を継続するとともに、施設における自主学習への動機づけと学習方略、および学習環境に関する質問紙調査を行った(検討2)。 検討1では、放課後児童クラブに在籍する児童を「勉強が好きな群(A群)」と「勉強が嫌いな群(B群)」に分類し、検討を行った。A群には70名、B群には26名が分類された。残りの36名は「どちらでもない」と回答した。両群ともに、分からない問題があっても最後まで諦めずに取り組む割合は高かったが、B群は宿題の難易度の高さや量、関心の程度によって「勉強したくなくなる」と回答する割合が高かった。また、「書いたり消したりすることが面倒だ」と回答した割合はB群で高く、学年では小学2年生でピークが見られた。さらに、B群では、支援員等の大人に対して「勉強を教えて欲しい」や「宿題をする際に近くにいて欲しい」と感じている児童が少なかった。 検討2では、児童心理治療施設に在籍する児童の学習支援について検討した。前年度、PC教材ではマウスの操作性などが注意の維持に影響を与えたため、今年度はタッチパネル式のPCを用いて学習支援を行った。これにより、操作上の課題は大きく改善され、学習における注意の維持が可能となった。学習方略に関しては、事前の手順確認や課題の細分化によって、学習に取り組む際の負担が改善できることがわかった。学習サポートに関しては、介入前は「大人に近くにいて欲しい」という回答と「誰がいても変わらない」という回答がそれぞれ見られたが、介入後には「大学生がいると頑張れる」や「個別の学習支援は静かな環境で学習しやすい」という回答が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、通常の小学校における大規模調査の実施が困難であった。そのため、研究協力の得られた放課後児童クラブに在籍する児童を対象に、基礎的データの収集を行った。放課後児童クラブは、低学年児童の在籍率が高いという特徴があるため、本来予定していた学年ごとの発達的変化を検討するまでには至らなかった。これについては、データの追加収集が必要である。 児童心理治療施設の調査に関しても、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、学習支援の開始が遅れた。学習方略の獲得に関する検討を十分に進められなかったため、2021年度に追加でデータを収集する。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年度に実施できなかった調査の一部と結果の分析を行い、研究成果の報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、研究協力校や学会への出張がなくなったため、旅費を使用しなかった。また、調査規模が縮小したことにより、データ収集や分析に関連する人件費や印刷費等も支出が少なかった。 2021年度は、この差額を追加のデータ収集に関連する印刷費や人件費等で使用するとともに、成果発表に関連する旅費および成果報告書の印刷等に使用する予定である。
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