研究課題/領域番号 |
18K02502
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
後藤 めぐみ (赤塚メグミ) 常葉大学, 保育学部, 准教授 (30709217)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 被虐待児 / 感じの読み書き学習 / 学習方略 |
研究実績の概要 |
2021年度は、藤田ら(2001)の先行研究を参考に、小学生の学習および生活において自己調整学習が求められる具体的な場面を想定し、問題解決方略として適切か否かの判断を求める質問紙調査を計画した(検討1)。対象は、通常の小学校1年生から6年生までの児童計600名とした。質問紙調査の作成等、実施に向けた準備は予定通り進んだが、新型コロナの影響で調査の実施には至らなかった。 一方、被虐待児に対する検討は、概ね予定通りに進めることができた。被虐待児については、研究協力の得られた4名について、個別の学習支援を行う一方で、自己調整学習に関する質問紙調査を実施した。学習支援における教材は、タブレット端末を用いて取り組めるものとし、画面上に提示される文字の大きさや色、問題に正解した際のフィードバック音、課題提示時の背景画像などを対象児が自ら選択することで最適化できるソフトを作成した。この最適化の手続きが、①Help-Seeking方略、②モニタリング方略、③プランニング方略、④努力調整方略、⑤学習目標設定方略にどのように影響するかを検討した(検討2)。その結果、自己調整学習のうち「正しいか確かめながら勉強する」などのモニタリング方略と「どのようにすれば覚えやすいかを考えて勉強する」というプランニング方略を重視する事例は、学習支援におけるポスト課題の成績が良好であった。一方で、「勉強した後で何か好きなことをしようと考える」などの努力調整方略と「1日に何個漢字を覚えたらよいか考えながら勉強する」などの学習目標設定に関する方略については学習支援におけるポスト課題との関連は認められなかった。この点については、今後の検討課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、被虐待児を対象とした検討は概ね順調であった。一方で、通常の小学校を対象に質問紙調査を実施し、小学1年生から6年生における自己調整学習の発達的変化を明らかにする検討は予定通り遂行できなかった。質問紙の作成や研究協力校への依頼等の準備は整ったが、実際の調査遂行の段階で新型コロナが蔓延し、やむを得ず研究を中断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度までに遂行できなかった小学1年生から6年生を対象とした質問紙調査は、科研費の補助事業期間を延長した2022年度の前期において実施する。その結果を解析し、定型発達児における自己調整学習の発達的基準値を明らかにする。さらに、この基準値に基づき、被虐における自己調整学習の特徴を明らかにする。以上の成果は、原著論文として特殊教育学会に投稿する。 尚、2022年度においても新型コロナの影響で研究代表者が研究協力校を訪問できない状況が生じた場合には、遠隔でも実施可能な調査方法に変更する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に予定していた通常の小学校における調査が新型コロナの影響で実施できなかったため、繰越金が生じた。2022年度はこれに関わる旅費および物品費、人件費として使用する。
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