社会的養護施設で暮らす子どもは、被虐待および学業不振の割合の高いことが知られている。幼少期からの被虐待体験は、認知機能全般の発達機能不全を引き起こすとされる。学習に関わる被虐待児の認知特性として、聴覚性ワーキングメモリの顕著な低下と実行機能を学習場面に適用することの困難がある。 本研究では、これを自己調整学習の観点から検討し、被虐待児の特性に最適な読み書き学習支援法の開発を試みた。その結果、被虐待児では学習効果の持続性に不安定さのあることを確認した。また、リソース管理方略の弱さが確認され、学習者自身がカスタマイズできる教材アプリの活用は、学習行動および成績の向上に有効であった。
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