研究課題/領域番号 |
18K02503
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
花井 忠征 中部大学, 現代教育学部, 教授 (70164879)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 幼児 / 人間関係 / 発達理論 / ビジネス顕微鏡 / 可視化 / 保育方法 |
研究実績の概要 |
本研究は、従前の幼児の集団形成や人間関係の発達理論の見直しを図り、保育・教育現場での支援・指導に貢献するために、幼児の集団形成の変容やコミュニケーションの実際の情報を精密に測定することができるウェアラブルセンサノード・ビジネス顕微鏡を用いて客観的かつ精度の高いビッグデータを集積し、解析することで、現代の幼児の集団形成の発達の変容とコミュニケーションの質量などの人間関係を可視化・定量化し、幼児の人間関係の新発達理論を構築するとともに保育・教育現場で容易に活用できる「みえる化」によって教育・保育支援方法の開発を目指すことを目的としている。 本研究は、従来の観察法など主観の介入が否定できない分析ではなく、センサノードを幼児に装着させて、個及び集団の行動変容や人間関係の変容を経時的に一斉に測定することで、新たな幼児の人間関係の発達理論を構築しようとする研究であり、独創性・新規制が高い研究であるとすることができる。 研究初めの当該年度は、研究計画に従い研究協力の得られた愛知県内私立幼稚園2園について夏期、秋期に年長児・年中児・年少児について測定を実施し、317名の人間関係のビッグデータを集積することができた。ただし、当初の研究計画にあった冬期の測定は、協力園の保育日程の都合で実施することができなかった。集積したデータは、膨大な情報量であり、解析に多大な時間を要しており、現在も継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度のビジネス顕微鏡による測定は、2私立幼稚園で実施することができた。測定期間は、5月~6月、9月~10月、1月~2月の3期間を計画していたが、研究協力園の保育日程等の都合により6月と11月の2期間の実施となった。 6月には、4日間測定を実施し、年長70名(雨天日と晴天日の2回)、年中児41名、年少児37名、計148名と担任教師6名、また11月には3日間測定を実施し、年長児58名、年中児52名、年少児59名、計169名と担任教師6名の自由遊び時間帯における幼児間及び幼児と担任、遊具利用を介した人間関係などのビッグデータを収集することができた。データ収集数は、冬期のデータは無いものの、ほぼ計画数は収集することができた。 収集データがビッグデータであるため、解析に膨大な時間がかかり、現在も解析中である。そのため、今年度の研究成果は原著論文1編となった。 しかし、研究協力園には、園児の人間関係についてコミュニケーション・ネットワーク図に可視化し、園児間の人間関係や担任教師とのコミュニケーションの状況についてフィードバックし、よいクラス経営などの客観資料として保育実践に役立ててもらうように情報伝達を行った。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目は、研究初年次に協力を得た園に対して、在園同一園児を対象に前年度と同様の測定、分析を継続するとともに、新入園児に対しても研究協力の同意を取り、測定を実施していく。 研究2年目は、新年中児・年長児の年齢層で縦断的検討が可能となるため、発達年齢による集団形成、コミュニケーションの発達変化を解析し、検証を進めていく。 2年間の研究を通しての新たに得られた成果を学会発表および論文投稿にて公表していく。 研究成果のフィードバックと次年度の研究実施に向けての自己点検・自己評価を実施する。
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