研究課題/領域番号 |
18K02505
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
畑 忠善 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (70267954)
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研究分担者 |
宮田 昌史 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (00387721)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心筋再分極 / 自律神経活動 / 早期再分極時間 / 後期再分極時間 / 健常児童 |
研究実績の概要 |
【背景】QT variability index (QTVI)は単一心電図記録から算出可能な指数で、小児領域でも応用できる催不整脈性の指標である。これまでに我々はQTVIと心拍変動 (HRV)との相関性を評価し、QTVIは再分極異常の検出法のみならず、自律神経平衡の評価法としての有用性であることを健常児童において実証した(Pediatr Cardiol. 2020)。その中で早期再分極時間(心電図のJpoint to Tpeak:JTp)と後期再分極時間(Tpeak to Tend:Tpe)に対する自律神経制御(影響)については十分な解明がなされておらず、先行研究は成人を対象にした報告のみである。本研究の目的は、JTpとTpeの心拍数依存性を明らかにし、これらのパラメーターによる自律神経活動の干渉を解明することでした。 【対象と方法】心臓病のない50人の思春期前の子供(平均年齢:6.4±0.5歳;男性:女性、22:28)を分析対象としました。 JTp、Tpe、および先行するRR間隔は、120回の連続した拍動(リードCM5)を使用して測定しました。まず、RR間隔とJTpおよびTpeの関係を、ピアソンの相関係数で評価しました。次に、JTpおよびTpeとの自律的干渉を評価するために、スペクトル分析を使用して、RR間隔の変動とJTpまたはTpeの変動との間のコヒーレンスの程度を計算しました。 【結果】RR間隔とJTp(y = 0.116x + 105.5; r = 0.594、p <0.001)の間、およびRR間隔とTpe(y = 0.037x + 44.7; r = 0.432、p < 0.001)。 Tpeの変動性は、JTpの変動性(それぞれ0.401 [四分位範囲、0.352-0.460]対0.593[0.503-0.664]; p <0.001)よりもRR間隔の変動性(範囲:0.039-0.5 Hz)とのコヒーレンスの程度が低かった。 【結語】心筋再分極の不安定性を示すTpeはJTpよりも心拍数に対する依存性が低く、洞結節の興奮周期から評価する心臓自律神経活動の干渉の程度も低いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り研究は進めていたが、全国的なコロナ感染症の影響を受け健常対象者からのデータ記録が進まなかった。サンプル数は少ないが、仮説通りの結果を得て国際学会誌に受理されている。しかし、テキストブックにおいてリファレンスとして受け入れられるためには対象者数を増し、国際学会での発表と討論が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
1)健常児童 蓄積された過去のデータを抽出して現行の分析データに追加する予定。 2)病児 これまでにも基礎疾患による分類は進んでいるので、ポイントを絞って健常児童群と比較検定を進める。さらに臨床医が興味を持っている、新生児に対する低体温療法時の心筋再分極についての分析を検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナによる国際学会発表が滞り次年度使用額が生じました。今年度には学会と論文投稿で使用する予定です。
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