研究課題
【背景】自律神経系の発達は心電図より算出する心拍変動の分析値に反映される事が知られている。成人で際不整脈性の評価に用いられるQT variability indexやTp-e/QTは小児での臨床的有用性は充分に検討されていない。先行研究として心筋再分極異常を検出できるQTVIおよびTp-e/QTは心拍変動と強い相関性を有すること、さらに生後1ヶ月児では在胎週数に相関した自律神経機能の成熟度を心筋再分極指標から推測できる事を示して来た。最終年度は健常児とは対極を選択し、新生児仮死後の低酸素脳症に対する低体温治療中の心筋脱分極と再分極の変動について検討した。【対象と方法】研究期間中に当院NICUに入院した684人の内、低酸素性虚血性脳症児で低体温療法を行った3症例。モニター記録からRR、QRS、QT、Tp-eを計測し、QTc、Tp-e/QT、QRS/QTcを算出し経時的変化を評価した。ECGと体温同時記録の33サンプルから評価した。【結果】QTcと体温は有意な負の相関関係を示した。Tp-e/QT、QRS/QTcは体温と有意な正相関を示した。低体温療法中に心拍数は低下しQTは延長したが、QRS時間に変化は認めない。またTp-e/QTとQRS/QTcは低下した。【考案】治療的低体温(33.5度)は心筋脱分極を担うイオンチャネルの抑制は軽微であるが、late sodium currentの不活性化の遅延をもたらし顕著な再分極の延長を示した。バイオマーカーであるQRS/QTcは体温低下とともに減少し、催不整脈の増悪を認めなかった. さらにTp-e自体は治療的低体温前後で変化を認めず、Tpe/QTはQTの延長に伴い相対的に低下した.【結語】治療的低体温療法は再分極時間を有意に延長する。しかし催不整脈基質を示す再分極特性比、バイオマーカーには悪化傾向を認めなかった。
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