令和4年度は、これまでに得たデータを分析し、以下の結果を得た。 幼児を持つ母親を対象に行ったweb調査では、朝食の定時摂取や共食習慣、母親の概日タイプ度と育児ストレス・困りごととの関連が見られた。また、常勤の母親で慢性的な睡眠不足による影響が懸念された。保護者の夜型化や社会的ジェットラグの拡大は,子どもの食習慣や生活リズムの乱れに直結し,子育ての困りごとを増やすと考えられた。 保育園を対象に行った調査では、母親の朝食パターンの不良と親子の睡眠習慣と生活リズムとの関連や、母親の野菜に対する知識が、朝食での野菜摂取や子どもの生活リズムや育児ストレスの程度や困りごとに関連がみられたことから、養育者の朝食内容も含めた食育が、子どもの生活リズムや親の精神衛生の軽減に寄与する可能性が示された。 開発した教材を用いた幼児への介入調査では、教材による生活習慣への介入(教材による意識づけ)が親子の生活リズムの改善に寄与する可能性を示す意見が得られ、保育関係者への調査からは園における食育教材としての有用性が示唆された一方で、子どもを飽きさせない、習慣化につながる教材づくりの課題もあがり、幼児であっても子ども自身が主体となる工夫が必要であることを再認識した。 子育てサークル等の母親を対象とした調査からは、生活習慣・生活リズムと保護者の育児ストレスとの関連がみられ、特に時間管理による子どもの活動リズムの自立を進めるための支援が重要であることが示唆された。 以上から、親子の生活リズム・生活習慣の乱れや内容も含めた朝食習慣の不良が、育児ストレスや育児の困りごとを助長している可能性が示唆され、朝食改善が育児ストレスを軽減する効果を期待できる結果が本研究を通して得られた。本研究で作成した教材をさらに改良していくことで、親子の生活リズム・生活習慣の改善に役立てることが今後の目標である。
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