研究課題/領域番号 |
18K02508
|
研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
鮫島 輝美 京都光華女子大学, 健康科学部, 准教授 (60326303)
|
研究分担者 |
東村 知子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (30432587)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 医療的ケア児 / 保育ニーズ / 実践事例の検討 / 普及モデル構築 |
研究実績の概要 |
研究計画では、東京、名古屋へのフィールドワーク 、インタービューを行い、京都でも医療的ケア児の受け入れが可能な保育園がいくつか開園しており、そこへもフィールドワークを行なって、全体のまとめに入る予定であった。しかし、コロナウイルス の感染拡大による社会情勢により、フィールドワークをほとんど実施することができなかった。そこで、研究計画の変更を所属大学の倫理審査委員会に申し入れ、調査地を京都・大阪・兵庫に変更した。しかし、第6波の影響が大きく、調査先の保育園も感染対策に追われており、調査協力が難しかった。また、新たな保育園などは信頼関係が作れておらず、京都で1件のみ、主催者に話を聞くことができた。しかし、現場調査を行うことはできなかった。 そこで、ウェブ上で行える取り組みを行った。1つは、調査先の代表者とこれまでの取り組みと、今後の方向性について議論を行った。こどもコミュニティケアの代表者と、研究者とで今後の方向性を話し合った結果、生活支援を中心とした専門職連携について、1つのモデルケースとして発信できる可能性を確認した。保育だけでなく看護においても、地域における生活支援の必要性は謳われており、具体的な取り組み事例としてまとめることが有益であると考える。 2つ目に、国際学会にてシンポジウムを計画し、発表した。国際学会では、関係性に注目した取り組みとして、他の保育実践や高等教育とのセッションで、関わりの必要性について確認することができた。3つ目に、これまでの成果をふまえ、「分けない実践」というテーマにて日本保育学会にてシンポジウムを企画し、2022年5月16日に発表予定である。ここでも、専門職連携の重要性に触れ、こうした取り組みが地域の中で増えていくための一助となると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前期は、社会情勢を見ながら、調査の再開を見ていたが、7月からの第5波によって、大学教員として所属の方針として、調査地に赴くことができなかった。第5波が落ち着き、年明けの大学の業務が落ち着いた頃に、調査の再開を計画していたが、結局、第6波による感染拡大が広がり、断念をせざるを得なくなった。WEB調査も計画したが、調査先も現場の対応に追われており、調整が難しく、結果的に行えていないのが実情である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの調査内容をふまえ、今年度の方針を以下の三つで考えている。 1)保育園だけでなく、コミュニティでの実践や行政の取り組みを調査し、今後の方向性を検討する。2021年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下「医療的ケア児支援法」)が成立し、同年9月18日に施行された。この法律により、国や地方公共団体は医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を負うことになった。こうした流れから、自治体では、医療的ケア児やその家族に対するサービスを始めることとなり、京都府でも「医療的ケア児支援センター」が設置された。電話相談や関係機関との調整、実態調査などを統括的に行う予定である。こうした動きをふまえ、京都府と佐賀県の実情を調査し、地域ごとの取り組みを比較しながら検討できると考えている。 2)看護師が保育園で働くことを通じて、保育士と看護師が協働する事の意味について考える。これまでの学会発表やシンポジウムから、Z園の実践がどのような社会的意味を持つのか、について考えてきた。保育士と看護師が役割を超えて協働するには課題をどう乗り越えているのか、そのような視点からも検討していく。 3)医療的ケア児の受け入れを難しくしている社会的心理的障壁について考える。 法改正が行われたため、医療的ケア児の受け入れ体制には追い風となると考えられる。しかし、実際の現場では、不安を抱えており、そういった現場を支援するためにも、これまでに医療的ケア児を受け入れ支援してきた先駆者たちの経験を集約し、医療的ケア児の受け入れを難しくしている社会的心理的障壁とはどのようなものか、について検討する 以上から、 医療的ケア児を支援する活動をより多くの保育現場に広げていくにはどうすればよいかを実践面と社会的・制度的側面の両面から検討し、医療的ケア児の保育の「普及モデル」を提案することを目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を1年延長したため。
|