研究課題/領域番号 |
18K02509
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
桜井 智恵子 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (00300343)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | PTA / 市民社会 / 教育関心 / 教育化 / 市民運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、1971年発刊の雑誌『PTA研究』の分析研究である。教育文化思想史研究の中でも手薄な分野であるPTAの役割や論点について考察している。全国PTA問題研究会による本誌の編集・発行は戦後の保護者を中心とした市民社会をリードする活動であった。 初年度は『PTA研究』バックナンバーの分析と『PTA研究』関係者・執筆者のインタビュー調査を並行して行う予定であった。全国PTA問題研究会のリーダーであり『PTA研究』の終刊まで担当した方や関わった人々のインタビュー調査を行い、当時のPTAの様子を時代状況とともに知ることができた。研究会立ち上げのコアメンバーの所在やアクセスなど、インタビューさせていただいた方々を通して進めているが、ご高齢のためお話をうかがうことが叶わないケースも想定以上に多い。そこで、当初の予定の『PTA研究』分析よりも初期に関わられた方々のインタビューを先に進め、その時代のPTA活動に対する願いや現在の思いについて取材を行うことを継続して行いたい。 初年度のインタビューでは、本雑誌を主宰していたメンバーはインテリ層中心で「個の確立をめざして」をテーマに教育関心が高い傾向があったことがわかった。本雑誌は都内の管理教育に対して、保護者の中から反論が立ち上がり、当時の新興住宅地である世田谷区の社会教育としての市民講座が中心になり発展した。本雑誌の編集・出版活動は、当時の公教育に対する保護者の市民運動という位置づけができる。また、教職員とメンバーは連携して活動しており、全国PTA研究会はリベラルな運動の担い手であったということがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定と異なり、インタビューを先に行い、雑誌分析は後半を中心に進めているが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1970年代の初期のPTA運動の傾向を一定把握し、その後のPTAの動きや状況と、保護者の時代背景など文脈を重ねて整理を進めたい。また、歴史研究ではあるが、ここ1年間だけでも「PTA加入」をめぐる議論は新聞でもたびたび取り上げられ、社会的に注目されており、意見を求められることもある。それらの内容や課題整理にも目配りしながら、本研究を進めとりまとめてゆく必要性を感じている。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度予定していた方がご高齢のためアクセスが想定以上に難しいケースがあるとがわかり、雑誌分析よりもインタビュー調査を先に行うこととしたため、雑誌分析にかかる費用が未使用額となった。次年度は、見直した計画でインタビューを継続してゆく予定である。また、雑誌分析を並行して行ってゆくつもりである。
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