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2023 年度 実績報告書

PTA民主化の思想史研究ー1970-2005年『PTA研究』の分析を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 18K02509
研究機関関西学院大学

研究代表者

桜井 智恵子  関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (00300343)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード民主化 / 個人化 / 経済グローバル化
研究実績の概要

これまでの研究で、民主運動における市民・保護者の思想を戦後史に位置づけ、リベラリズム思想の現在への影響を明らかにすることができたため、本研究全体の構造化を行なった。
第一に、理論枠組みの構築を試み、経済のグローバル化が進む以前の1970年代の『PTA研究』の議論にみられる特徴とその後の展開の違い、またそれらの時期を通しての普遍性も浮かび上がった。後期に位置づく時期からの政治経済形態の再編による主体形成に、とりわけ注目した。
『PTA研究』の舞台となった地域のひとつ杉並区の保護者会から、現在の子どもや学校に対する意見や不安について詳しく聞く中、私学と公立校進学による地域の保護者の分断とそれによる個人化ともに、リベラリズムによる能力主義が常識となり、不安を抱えながら子育てが行われている様子が見て取れた。
第二に、民主化思想研究の比較分析のため、日本の社会・政策状況と近しい英国調査に赴き、孤独研究と結んで考察を行なった。
イーストエンドなどの困窮地域は再編され、移民事象が多様性と向き合う日常を形成しており、経済グローバル化に対する反論などの民主化をめぐる資料は地域の書店が発信している。教会を会場に常時、保護者を含む地域の交流の場となっている。
たとえば、古い工業地帯が広がっていた労働者階級の地域、リーズなどは多くの移民が暮らし、子育て中の移民が担うウーバータクシー運転手は雇用契約を結ばず個人事業主として仕事を請け負う。子どもは成績により獲得できる奨学金で進学し、多くは最底辺の人が住む社会住宅(council house)に暮らす。隠されてきた階級格差が再び激しく顕在化し「孤立化」政策にスライドされており、日本の「個人化」の社会構造とも重なる点がある。これらを日本の市民社会と比較し「当事者とされる若者・女性・子育て家庭・「ヤングケアラー」(『日英の孤独政策』2024年)を出版した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 資本主義の個別化社会を解体するー協同組合における「レイドロー報告」の現代的限界2024

    • 著者名/発表者名
      桜井智恵子
    • 雑誌名

      社会運動

      巻: 453 ページ: 102-111

  • [学会発表] ケア/サポートの政治2024

    • 著者名/発表者名
      桜井智恵子
    • 学会等名
      日本臨床心理学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 資本主義社会におけるケアと経済の位置取り ー「切り離し、依存しながら、否認する」2024

    • 著者名/発表者名
      桜井智恵子
    • 学会等名
      総合人間学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 課題研究:なぜ、日本の公教育は、不自由で非包摂的なのか?2024

    • 著者名/発表者名
      桜井智恵子(指定討論者)
    • 学会等名
      日本教育学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 能力原理により正当化される配分と支援2023

    • 著者名/発表者名
      桜井智恵子
    • 学会等名
      日本教育社会学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 何のために何を評価しているのか―個別最適化の政治2023

    • 著者名/発表者名
      桜井智恵子
    • 学会等名
      日本教師教育学会
    • 招待講演
  • [図書] 日英の孤独政策 : 官民連携のあり方を問う2024

    • 著者名/発表者名
      桜井智恵子(山本隆・山本恵子編)
    • 総ページ数
      178
    • 出版者
      光生館

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公開日: 2024-12-25  

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