研究課題/領域番号 |
18K02513
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
下坂 剛 四国大学, 生活科学部, 准教授 (30390347)
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研究分担者 |
永井 知子 四国大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30612056)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 父親の育児関与 / 夫婦満足度 / 夫婦ペアレンティング / ワークファミリーエンリッチメント / 主観的幸福感 / 仕事関与 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,第1に,面接調査を通じて縦断的に夫婦関係と子育て環境の関係性を質的に研究すること,第2に,育児関与尺度を改良して,夫婦ペアレンティングや夫婦満足度等との関連性および因果関係を量的に検討すること,第3に,夫婦向けの子育て支援プログラムによって育児関与等がどのように改善するか実践的に検討することである。 2018年度は,第1の目的である初めて子どもをもつ夫婦への縦断的面接調査について,6組を対象者とした。出産前は6組全員に調査を実施し,出産後6ヵ月時点ではそのうち5組に調査を実施した。残り1組は出産時期が遅かったため,次年度に実施することとなった。各回のインタビューの音声データを文字起こしして,分析を進めている。以後,2時点目の1組,出産後12ヵ月時点で6組,出産後1年半時点で6組にそれぞれインタビュー調査を予定している。 また,父親の育児関与尺度を作成し,信頼性と妥当性を検証した論文を査読付学術誌に投稿した。同時に,育児関与尺度を夫婦双方に測定可能なものと位置づけ,インターネット調査によって,末子が0~2歳または3~6歳をもつ夫および妻あわせて1200名に質問紙調査を計画し,実施途中である。調査内容は,育児関与に加え,夫婦満足度,夫婦ペアレンティング,ワークファミリーエンリッチメント,仕事関与,主観的幸福感等である。本調査は横断的研究であるため,これらで調査をした結果は2019年度の日本心理学会にてポスター発表を予定しており,以後の縦断的質問紙調査への土台となる知見を見出すことを目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はほぼ計画通りに進捗している。面接調査の対象者は当初10組を予定していたが,地域的な条件から専業主婦世帯の調査対象者が少なかったことと,実際には専業主婦世帯も1組協力者が得られたことから,全体として6組の夫婦での面接調査を行うことにした。全ての夫婦が無事出産を終え,実施予定のものも含め,第2回の面接調査が終了する見通しである。 また,父親の育児関与尺度は,当初,母親による配偶者としての父親の育児関与の他者評定を想定していたが,研究分担者との慎重な協議を経て,父親の育児関与に関する61項目は父親に特有ではなく母親も同様に行う内容であるという点から,夫婦に共通する育児関与尺度を作成することが望ましいとの結論に至り枠組みを再検討し,新たに夫婦に共通の育児関与尺度とした。その際,以前の研究では末子が3~6歳の父親で,調査地域も地方都市でしか調査できなかったことを踏まえ,今回のインターネット調査では,末子年齢が0~2歳,3~6歳の未就学児で,なおかつ全国47都道府県の全ての調査対象者から調査することとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まず継続的に面接調査を6組に実施し,全部で4時点の調査は2020年5月頃に終了する見通しである。それぞれの調査時点が終了するごとに文字起こしを行って,それら記述データからM-GTA(修正版グランデッドセオリーアプローチ)によって理論モデルを構築し,夫婦関係と育児関与の質的モデルに関する研究をまとめ,国内の心理学会にて学会発表,査読付学術誌への投稿を行う。 また,インターネット調査の結果は,2019年度の日本心理学会においてポスター発表を行う。その上で,研究としてまとめ,査読付学術誌への投稿を行う。 2019年度後半には,夫婦を対象とした縦断的質問紙調査を実施する。これらの結果をまとめ,学会発表と査読付学術誌への投稿を行うのは2020年度となる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の物品費使用予定額は255,000円,使用金額は289,398円とほぼ予定通りであった。同様に旅費の使用予定額は260,000円であったが,使用金額は180,170円であり,これは研究代表者及び研究分担者ともに学会発表と研修への出張が予定より少なかったためである。同様に人件費・謝金の使用予定額は268,000円,使用金額は119,000円となったが,これは調査対象が当初の夫婦10組から6組と少なくなったこと,生後6ヵ月時点で託児環境を希望する夫婦がほとんどおらず子どもを抱いたままのインタビューとなったため,アルバイトが不要となったことが理由である。同様にその他費用の使用予定額は417,000円,使用金額は32,558円となったが,当初予定していたインターネット調査が2019年度にずれ込み,調査費用の支払いも合わせて2019年度予算より支出することになったためである。 2019年度は,インターネット調査や,面接調査を3回(第2回残り1組,第3回6組,第4回5組の予定)実施するためにそれぞれ費用を要する。また,年度後半には,就学前の幼児を育児中の夫婦を対象とした2時点での縦断的質問紙調査を実施する予定にしており,調査協力先の保育施設への質問紙郵送料,データ入力のアルバイト学生への人件費として使用する。加えて,これらの研究成果を学会で発表する際に必要な旅費,参加費としても使用する予定である。
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