研究課題/領域番号 |
18K02513
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
下坂 剛 四国大学, 生活科学部, 准教授 (30390347)
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研究分担者 |
姫田 知子 四国大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30612056)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 親の育児関与 / 縦断的研究 / 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ / COVID-19ストレス |
研究実績の概要 |
現在,親の育児関与に関するインターネット調査をもとにした論文を査読付学術誌に投稿しており,現在査読の最終段階になっている。また,出産前からの3時点の縦断的調査的面接調査に関する記述データについても,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)整理と分析を行い,査読付学術誌への論文投稿を準備中である。 今年度はCOVID-19の世界的流行により,当初予定していた認定こども園等に依頼して質問紙調査を実施する計画の遂行に支障をきたした。また,コロナ禍における育児環境は相当なインパクトを各家庭に与えていることが予想され,これまでの研究計画を再検討する必要に迫られた。 したがって,予定していた乳幼児をもつ父母に対する育児関与についての縦断的研究の実施を延期し,COVID-19ストレスを測定する研究プロジェクトの知見を取り入れつつ,親の育児関与とCOVID-19ストレスの関連を検討することを目的としたインターネット調査の計画を立案し,所属機関の2021年3月に研究倫理審査委員会で承認を得て,2021年4月中に乳幼児をもつ父母合わせて1200名に対するインターネット調査を実施する予定である。 また,縦断研究については当初の予定を再検討し,ワクチン接種が十分国民に広がっていない状況下でコロナ禍での育児状況の変化は,より長期的に捉える必要があるとかんがえ,複数の認定こども園に依頼して,2021年度6月と2022年度6月の1年間の間隔を空けた縦断的研究を計画している。調査には4つの認定こども園から協力の承諾を得ているため,準備を経て調査実施に入る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究進捗が遅れたのは,まず第1の理由として,2020年度には新型コロナウイルスの流行が広がり,当初の調査計画で依頼予定であった認定こども園を始めとした施設では感染予防等の対応で調査協力を得ることが困難な状況であり,結果として十分な調査依頼施設数を確保することができなかったためである。第2の理由としては,従来計画していた調査は新型コロナウイルスの世界的流行を想定していないものであり,本研究における親の育児関与にも新型コロナの流行といった社会状況は大きく影響することが予想され,研究計画の練り直しの必要性が強まったためである。 2021年度における研究計画で修正した点は,第2点として,新型コロナウイルス流行といった社会状況を踏まえた調査とするため,COVIDストレスと育児関与の関連性を検討することを目的としたインターネット調査の実施を計画したことである。第2として,縦断的に行う研究計画において,新型コロナによる各依頼先施設での感染予防の日常的な業務負担の状況も考慮した上で,依頼先の関係者における調査協力にかかる負担が最小限で済むよう研究計画を練り直し,質問紙でなくインターネット上での回答による新たな調査方法で実施することとし,調査回数も最小限の2回に減らすよう変更したことである。以上のように修正した研究計画のもとで,2021年度は本研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
親の育児関与とCOVID-19ストレスの関連性についてインターネット調査で得られたデータをもとに分析し,特殊な状況下での育児のあり方に関するエビデンスを得る方策をとる。また,縦断的研究は本研究計画終了の2021年度を超える計画に修正したものの,可能な範囲で継続的にCOVID-19ストレスの影響やワクチン普及などの国内状況の変遷を視野に入れながら,より長期的に保護者が育児関与していく様相について発達心理学的なデータを蓄積していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの蔓延により,予定していた研究計画の遂行が困難であり,データが得られず研究成果の発表にも支障をきたし学会発表も行えなかったため,関連する使用額が生じなかったことが理由である。今後の使用計画としては,インターネット調査とコロナ禍で可能な範囲で複数の認定こども園での縦断的研究を開始し,その調査費用として使用する。また得られたデータを分析した上で,複数の学会での発表を行うための費用とする予定である。
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