研究課題/領域番号 |
18K02518
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 学 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (90587304)
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研究分担者 |
赤井 利行 大阪総合保育大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40441620)
新木 伸次 国士舘大学, 体育学部, 講師 (30450159)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 段階的授業モデル / 思考的発展 / 内容的発展 / 数学的なメタ認知的支援フレーズ / 消極的支援 / 半積極的支援 / 積極的支援 / 発展的思考・態度を促す授業モデル |
研究実績の概要 |
発展的な思考・態度を促す要素を特定する質問紙調査を実施した。質問紙は、JSPS科研費15K04390研究で整理した発展的に考えることの3つの状況をもとに開発した。全国の教員養成大学・学部や教員研修機関を対象に行い、「発展的思考・態度に必要な要素については、文部省・中島の「統合を観点にした発展的な考察」に関わる要素が多く、発見的発展に関わる要素や簡潔・明瞭・的確、一般化の要素がやや少ないこと」「養成、研修ともに発展的思考・態度に必要な要素の全てを重視していること」「発展的思考・態度に必要な要素の獲得時期は、養成、研修ともに教職5年程度に集中していること」「発展的思考・態度に必要な要素は研修よりも養成が早めに獲得されると捉えていること」を捉え、発展的思考・態度を支える要素も意識化することの示唆を得た。 次に、発展的思考・態度を育成する授業を展開できる教師Sへの算数授業に対する意識変容に関する聞き取り調査を行った。分析の結果、授業改善は、「直線的に進むものではなく、内容的発展、思考的発展の作用が認められること」「内容的発展、思考的発展の順で進むこと」を明らかにし、思考的発展と内容的発展の2軸からなる段階的授業モデルに示した。 そして、学習者の認知的活動とメタ認知的活動を捉えるべく、鉛筆が止まるといった解決者の思考停滞を分析し、「数学的な認知的内容とメタ認知的支援を複合した数学的なメタ認知的支援フレーズが有効であること」「消極的支援、半積極的支援、積極的支援の3段階で支援すること」を明らかにした。 さらに、15K04390研究で開発したモデルプレートを援用して発展的思考・態度を促す授業モデルの開発を行い、河合・黒田実践の再構成することができた。 また、授業改善に向けた授業評価モデルの開発、教科書分析変容にも着手した。 上記研究の成果は、学会発表するとともに、ホームページにおいて公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時の計画では、「視点1.発展的な思考・態度を促す要素の特定」「視点2.発展的な思考・態度の内面化と学習者の学力変容の解明」「視点3.発展的思考の関連図を活用した授業実践モデルの開発とその検証」の3視点から解明することにしており、1年次は、視点1に取り組むことにしていた。 1年次は、視点1の解明に加え、視点2について思考停滞の分析からの検討、視点3について発展的思考・態度を促す授業モデルの開発に取り組んでおり、当初の計画以上に進展している。また、授業改善に向けた授業評価モデルの開発にも着手していることも理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
2年次は、視点2、視点3に取り組む。開発した発展的思考・態度を促す授業モデルを授業実践による検証を行う。あわせて、発展的な思考・態度の内面化、学習者の学力変容を捉える評価モデルを開発して解明する。 既に着手している授業評価モデルも、授業実践により検証する。 これらの研究成果は、学会発表を行うとともに、ホームページに公開する予定である。さらに、3年次には、国際学会での発表を検討しており、その準備も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由は、旅費の節約である。7件の研究発表を行ったが、そのうち3件は東北数学教育学会であり、支出を抑えることができた。また、質問紙調査をウェブページを使用して実施したことから、質問紙の印刷費、郵送費も節約することができた。授業実践のプロトコルデータの作成や質問紙調査のデータ解析も、研究代表者らが行ったことから節約することができた。
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