研究課題/領域番号 |
18K02522
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鬼藤 明仁 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (50586964)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 技術科教育 / 技術・家庭科 / 動機づけ / 学習指導 |
研究実績の概要 |
一般に,学校教育における学習は基礎的な内容を重視し,段階的に高次の内容へと展開していくことが多いと考えられる。しかし,学習指導の観点からは3つの問題点がある。 1つ目は,学級集団において,ものをつくった経験や既有知識が各生徒で異なることである。教師は,経験や知識をある程度有する生徒に対しては発展的な内容まで取り組ませて,経験や知識が比較的少ない生徒には鍵となる知識を丁寧な説明によって獲得させながら授業運営を行うことになるが,中学校段階の知識が難しいので小学校段階の知識から再度学習するようなことになれば,実際には中学生は心情的に受け入れ難い状況になると考えられる。2つ目は,学校教育では身に付ける内容とそのための期限が設定されていることである。学習指導において,その段階の知識獲得が難しいからといって,下位段階まで戻って一つずつ知識を獲得する時間的余裕はほとんどないのが実状である。補習等で学習時間を増やすことも考えられるが,生徒の負担が大きくなることも懸念される。3つ目は,授業の簡素化が起こることである。限られた授業時間で全員の生徒が知識を獲得できるように教師が思案し,授業の構成や教材を簡素化すると,生徒の興味が喚起されない可能性が生じる。技術科の特性上,出来るだけ現代的で高度な技術を取り扱う志向もある点においても,授業の簡素化は問題となる。 これらの問題の対処として,技術科の授業で教師が,概念駆動型処理の学習を活用することを提案する。概念駆動型処理の学習とは,文脈的知識や予見に基づき学習対象を認識するという学習の型である。 平成30年度は,技術科の授業において教師や生徒が捉えている概念駆動型認識の学習の様相を調査し,考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
技術科の授業において教師や生徒が捉えている概念駆動型認識の学習の様相を調査し,考察した。概念駆動型処理の学習と生徒の動機づけとの関連性について,生徒を対象に質問紙調査を実施し,統計学的分析を行う準備を進めている。最終的には,概念駆動型処理(文脈的知識や予見に基づく学習対象の認識)の学習理論を核とした,技術科の学習指導方法の確立を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究成果を基に,概念駆動型処理の学習に対する生徒の認識についての調査票を作成する。項目分析を通して調査項目を精選する。また,概念駆動型処理の学習理論に基づく技術科の授業計画を立案し,授業実践による検証を通して,学習指導方法を確立する。 概念駆動型処理を核とした技術科の学習指導方法の確立に向けて,横浜国立大学教育学部附属学校及び,神奈川県下公立中学校の技術科担当教員との連携体制を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者である横浜国立大学教育学部附属学校及び,神奈川県下公立中学校の技術科担当教員との協議が,メールなどで円滑に行われ,その他費用の支出が抑えられた。また,統計分析用機器の購入が次年度でも間に合う見通しとなった。次年度では抑えられた費用分で,書籍等を購入するなど研究進展のため効果的に研究費を使用する。
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