研究課題/領域番号 |
18K02522
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鬼藤 明仁 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (50586964)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 技術科教育 / 発電教材 / 圧電素子 / 中学校技術科 |
研究実績の概要 |
生徒がものをつくる活動に取り組む際には、小学校段階までの経験を基盤にしていると考えられる。しかし実際には、授業内容は各学校の裁量に任されている部分もあるので、ものをつくった経験が少ないまま年齢を重ねる生徒も相当数存在するといえる。このような生徒は、中学校段階のものをつくる活動に対して、どのように取り組んでいるのだろうか。 本研究は、生徒の同調に着目した。同調とは「個人の判断や行動が、所属する集団の判断もしくは行動の影響を受けて、集団の規準や平均的なものに一致する方向に従って行われること」と定義されている。 今年度は、圧電素子を用いた発電教材を試作し、実験を通して、どの程度の力を掛けた場合に、どの程度の電圧が発生するのかを児童・生徒に説明できるようにデータを収集した。従来の、回転運動を起こし電磁誘導を利用する発電に加え、圧電体と呼ばれる物質に圧力を加えて生じる発電の内容を、技術科に取り入れることを意図した。 実験1では、圧電素子部品をオシロスコープにつなぎ、手でたわませた時の電圧を4名計測した。実験2では、全波整流回路を組み、オシロスコープにつないだ。圧電素子部品を手でたわませる方式で、できる限り蓄電し、メロディICの電子音発生時間を計測した。実験3では、コンデンサ数を増やし、それ以外は実験2と同条件で比較した。実験4では、実験3と同条件で、圧電素子部品を指で叩いて発電する方式で比較した。実験5では、出力部品をLEDとし、それ以外は実験3と同条件で比較した。 実験1~5を通して、400μF分のコンデンサを組み、圧電素子を手でたわませる方式で発電し、蓄電時間を3分とした場合、メロディICで電子音を12秒発生させられる結果を得られた。この条件下で、技術科の授業で生徒たちは、圧電素子を用いた発電を安定して実感することができると予測される。これについての実際の授業での検証が今後の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概念駆動型処理の学習と生徒の動機づけとの関連性について、前年度は、生徒の同調に着目し、中学校技術科に関して、生徒の同調のソーシャルスキル4因子(他者理解スキル、非表出スキル、メタ認知スキル、自己統制スキル)の使用状況を分析した。その結果、「他者理解スキル」に対して、「メタ認知スキル」が最も高い判別力を有することが示された。また、「メタ認知スキル」を使用している場合、「学級活動への関与」や「自由・積極的雰囲気」が促進要因となっていた。一方、「メタ認知スキル」を使用していると言えない場合、「非表出スキル」や「成長不安」が、「他者理解スキル」の使用を促進していた。 今年度は、圧電素子を用いた発電教材を試作し、実験を通して、どの程度の力を掛けた場合に、どの程度の電圧が発生するのかを児童・生徒に説明できるようにデータを収集した。従来ある、回転運動を起こし電磁誘導を利用する発電に加え、圧電体と呼ばれる物質に圧力を加えて生じる発電の内容を、技術科に取り入れることを意図した。実験1~5を通して、400μF分のコンデンサを組み、圧電素子を手でたわませる方式で発電し、蓄電時間を3分とした場合、メロディICで電子音を12秒発生させられる結果を得られた。この条件下で、技術科の授業で生徒たちは、圧電素子を用いた発電を安定して実感することができると予測される。これらの結果を基に学習モデルを構築し、次年度、授業実践にて検証する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
概念駆動型処理の学習理論に基づく技術科の授業計画を立案し、授業実践による検証を通して、学習指導方法を確立する。授業計画の立案では、概念駆動型処理の学習が、文脈的知識や予見に基づく学習対象の認識による学習であることから、スクリプト理論を採用する。スクリプト理論では、知識は台本のように、登場人物が目標に対し道具を用いて行動する事柄を時系列的に整理したものとして取り扱われる。 授業実践による検証及び学習指導方法の確立のために、立案した授業計画の下、横浜国立大学教育学部附属横浜中学校及び、神奈川県下公立中学校で授業実践を行う。生徒のワークシートの分析、調査校の技術科教員との協議を通して、概念駆動型処理を核とした技術科の学習指導方法を考究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、検証のための授業実践や、出張(研究発表や協議会)が滞ったため。これらについては次年度に行い、助成金を使用する。また、授業分析のための機器やソフトウェアも購入する予定である。
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