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2019 年度 実施状況報告書

教師教育現場での「対話的身体」の実証、およびその理論化の試み

研究課題

研究課題/領域番号 18K02531
研究機関京都大学

研究代表者

柳瀬 陽介  京都大学, 国際高等教育院, 教授 (70239820)

研究分担者 長嶺 寿宣  熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (20390544)
樫葉 みつ子  広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20582232)
山本 玲子  京都外国語短期大学, キャリア英語科, 准教授 (60637031)
横田 和子  目白大学, 人間学部, 専任講師 (80434249)
岩坂 泰子  広島大学, 教育学研究科, 准教授 (80636449)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード対話 / 身体 / 身振り / コミュニケーション / 教師教育
研究実績の概要

本研究の研究課題は、優れた教師教育者が教師教育の現場で示す「対話的身体」すなわち 「他者に対して独話的(権威的・静態的)な伝達ではない対話的 (多声的・動態的)な呼びかけを行っていることを自然に示す身体作法」を実証的に記述し、理論的言語で解明することである。
平成31(令和元)年度は理論的整理を進展させた。前年度の予備調査で明らかになった『学び合い』における教師の観察重視の「対話的身体」について、6/29に開催された中国地区英語教育学会で研究発表し、「対話的身体」は個々人が独自に有しうるものではなく、対話を行う共同体の関係性から発生し、個々人に具現化されるものであることを明らかにした(この時の投映スライドと発表音声はブログで公開している)。さらにこの理論的整理を踏まえて、研究代表者が実践者として実践報告を京都大学国際高等教育院研究紀要に執筆した。そこでは、対話を推進するためには「類型論的思考」ではなく「個体群的思考」により学習者集団を捉えること、および、コミュニケーションを心理レベルの意識とは別次元の社会レベルで考察することなどの重要性も明らかにした。
加えて、以上の理論的洞察をより一般化した形で11/16にJACET関西支部大会の招待講演(英語)で広く英語教育研究者・実践者に伝えた。この講演はの内容は2020年度にJACET関西支部による『英語教育研究』に招待論文として投稿する予定である。また、この「対話的身体」の理論的前提を、実践者研究に活かすため論考を、授業研究に関するある編著書(日本語)の一章として公刊予定である(現在、編集中)。加えて、本科研と関連する科研とのテーマを統合した形で、実践者研究に関する理論的考察をJACET Journalにも招待論文として掲載した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上記のように理論的解明はそれなりに順調に進んでいるが、実証調査が遅れている。平成31(令和元)年度の計画の1部として、2020年3月にとある小学校でのベテラン教師と新人教師の授業中の振る舞いについてビデオ録画する予定であったが、コロナ感染に伴う騒動でキャンセルとなったままである。

今後の研究の推進方策

今後、コロナ感染が制御できるかわからないし、仮に学校が再開されたしても、当面はそれぞれの学校での教育活動が最優先となるかもしれない。
もし録画やインタビューができない場合は、今後もこれまでそれなりの成果を上げている理論研究を中心にして研究を進めてゆく考えである。

次年度使用額が生じた理由

平成30年4月に代表者は新しい大学に移ったため、引っ越しや新環境への適応などに負われた。さらに8月から教務委員を拝命し、全学の英語科目の管理運営業務を始めた。加えて、研究分担者の一人が9月に、もう一人が令和2年4月に新しい大学に移った。また他の2名の研究分担者は、所属機関の大学院改組に関わった。こういった事情で、研究活動は思った程にははかどらなかった。

備考

学会発表や論文公刊に至るまでの準備的まとめをブログで公表している。当該年度は、本科研に関して、上の5編も含めるなら17編のまとめを公表した。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] 大学必修英語科目での『学び合い』の試み2020

    • 著者名/発表者名
      柳瀬陽介
    • 雑誌名

      京都大学国際高等教育院研究紀要

      巻: 3 ページ: 23-44

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The distinct epistemology of practitioner research2019

    • 著者名/発表者名
      柳瀬陽介
    • 雑誌名

      JACET Journal

      巻: 64 ページ: 21-38

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 『学び合い』におけるコミュニケーション観の転換2019

    • 著者名/発表者名
      柳瀬陽介
    • 学会等名
      中国地区英語教育学会
  • [学会発表] Emotions, cultures, and stories: Against the impoverishment of meaning2019

    • 著者名/発表者名
      柳瀬陽介
    • 学会等名
      JACET関西支部地区大会
    • 招待講演
  • [備考] 中国地区英語教育学会発表用のスライドと配布資料と発表音声

    • URL

      https://yanase-yosuke.blogspot.com/2019/06/blog-post_26.html

  • [備考] 第7章「社会的実在性を有する情動」(Emotions as Social Reality) のまとめ

    • URL

      https://yanase-yosuke.blogspot.com/2020/02/7emotions-as-social-reality-how.html

  • [備考] 意識とコミュニケーションの関係についてのルーマン論文のまとめ

    • URL

      https://yanase-yosuke.blogspot.com/2019/06/blog-post_20.html

  • [備考] 東畑開人 (2019) 『居るのはつらいよ:ケアとセラピーについての覚書』医学書院

    • URL

      https://yanase-yosuke.blogspot.com/2019/06/2019.html

  • [備考] 意味のシステム依存性と語の超越論的指示機能に関する若干の考察

    • URL

      https://yanase-yosuke.blogspot.com/2020/02/2019-1-7.html

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公開日: 2021-01-27  

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