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2020 年度 実施状況報告書

教師教育現場での「対話的身体」の実証、およびその理論化の試み

研究課題

研究課題/領域番号 18K02531
研究機関京都大学

研究代表者

柳瀬 陽介  京都大学, 国際高等教育院, 教授 (70239820)

研究分担者 長嶺 寿宣  龍谷大学, 国際学部, 准教授 (20390544)
樫葉 みつ子  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20582232)
山本 玲子  京都外国語短期大学, キャリア英語科, 准教授 (60637031)
横田 和子  広島修道大学, 国際コミュニティ学部, 講師 (80434249)
岩坂 泰子  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80636449)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード対話 / 身体 / コミュニケーション / 意味 / 対面授業
研究実績の概要

本研究の研究課題は、優れた教師教育者が教師教育の現場で示す「対話的身体」の解明を行うことである。対話的身体とは、対面コミュニケーションにおいて、聞き手(学習者)を共感的かつ受容的に観察し、聞き手の自発的な言動を促し、かつ話し手(教師)の情動も非抑制的に表現してことばの意味を十全に伝える身体作法と説明することができる。
2020(令和2)年度は、研究代表者を含む科研メンバー3名による招待シンポジウムでの発表とその成果の論文公刊、研究代表者による共著図書刊行により、これまでの研究成果を公表した。前者においては、研究代表者(柳瀬)が、「意味」を記号的な側面だけから分析するのではなく、身体性と社会性を考慮をするべきであることを論じた。論証の際には、神経科学と哲学の知見を整合的にまとめた理論的枠組を提示した。また研究分担者は、山本が学校教育現場でのエピソードから身体性に着目することの必要性を述べ、長嶺がヴィゴツキーの論を支柱にして身体性を複数の人間の間の関係性で解明することが重要であることを論じた。共著図書では、身体性を軽視するこれまでの英語教育研究の諸前提を明らかにした。
加えて、本科研とテーマの点で関連する科研において、研究代表者が第2著者として共著論文を刊行した。
また新たな理論的展開として、研究代表者が精神科臨床医の神田橋條治氏の論考に着目し、そのまとめを予備的にウェブ公開した。そこでは対面授業の意義について整理した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度に2本の学術論文、2020年度に3本の学術論文および2つの章を書籍で刊行し、関連したテーマで2019年度と2020年度にそれぞれ1本ずつの学術論文を公刊したことから考えると、理論的な解明はそれなりに順調に進んでいるといえるかもしれない。
だが、実際の教師の身体作法を観察しそこから理論知の裏づけをとる、あるいは理論では整理できていない実践知を見出すという側面では思うように研究が進んでいない。

今後の研究の推進方策

上記の現地調査の遅れの理由としては、もちろん2020年春から蔓延したCOVID-19により対面授業や移動が大幅に制限されたことが大きい。この報告書作成時点では、再び科研メンバーの所在地も含めて各地で緊急事態宣言が発出するなど、COVID-19の状況が改善することに関してはそれほど楽観的な見通しを立てることができない。もし、実証的な調査が今後も難しいなら、本科研は理論的考察に集中した活動を行うこととしたい。また、COVID-19の影響で対面授業の意義の問い直しが各所で行われているが、今後はそのような問題意識も積極的に研究の発想の中に取り入れてゆきたい。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19に伴うオンライン授業への移行で研究時間が取られ、かつ、出張活動が全面的に浴せされたため繰越が生じた。2021年度も現時点ではCOVID-19の収束に対して確たる見通しが得られないので、今後は研究年度を一年延期する可能性も視野に入れている。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (4件)

  • [雑誌論文] 学校英語教育は言語教育たりえているのか: 意味の身体性と社会性からの考察2021

    • 著者名/発表者名
      柳瀬陽介
    • 雑誌名

      KELESジャーナル

      巻: 6 ページ: 6-23

    • DOI

      10.18989/keles.6.0_6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 今こそ英語教育に身体性が必要とされる理由: 教育現場からの提案2021

    • 著者名/発表者名
      山本玲子
    • 雑誌名

      KELESジャーナル

      巻: 6 ページ: 31-36

    • DOI

      10.18989/keles.6.0_31

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 個の概念から対人コミュニケーションの概念への発達における主体性の再考: Lev Vygotskyの枠組みを中心として2021

    • 著者名/発表者名
      長嶺寿宣
    • 雑誌名

      KELESジャーナル

      巻: 6 ページ: 24-30

    • DOI

      10.18989/keles.6.0_24

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 学校英語教育は言語教育たりえているのか ―意味の身体性と社会性からの考察―2020

    • 著者名/発表者名
      柳瀬陽介
    • 学会等名
      関西英語教育学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 学校英語教育は言語教育たりえているのか ―「主体性」の再考と問題提起2020

    • 著者名/発表者名
      長嶺寿宣
    • 学会等名
      関西英語教育学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 学校英語教育は言語教育たりえているのか ―教育現場からの提言2020

    • 著者名/発表者名
      山本玲子
    • 学会等名
      関西英語教育学会
    • 招待講演
  • [図書] 英語授業学の最前線2020

    • 著者名/発表者名
      淺川和也・田地野彰・小田眞幸編
    • 総ページ数
      pp.25-48とpp.93-122
    • 出版者
      ひつじ書房
    • ISBN
      4823410408
  • [備考] 学校英語教育は言語教育たりえているのか―意味の身体性と社会性からの考察―」

    • URL

      https://yanase-yosuke.blogspot.com/2020/06/blog-post_7.html

  • [備考] 『神田橋條治精神科講義』『神田橋條治医学部講義』(創元社)を読んで

    • URL

      https://yanase-yosuke.blogspot.com/2021/02/blog-post.html

  • [備考] 神田橋條治『精神療法面接のコツ』『追補 精神科診断面接のコツ』(岩崎学術出版社)の教育への拡大解釈

    • URL

      https://yanase-yosuke.blogspot.com/2021/02/1.html

  • [備考] 神田橋條治 (2011) 『技を育む』 中山書店

    • URL

      https://yanase-yosuke.blogspot.com/2021/03/2011.html

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公開日: 2021-12-27  

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