研究課題/領域番号 |
18K02532
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
井上 奈穂 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (00580747)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 体験 / 知的理解 / ICT |
研究実績の概要 |
本研究では,学校におけるより効果的な「人権感覚の育成」のための条件整備である。「人権感覚の育成」には,「協力」,「参加」,「体験」といった学習形態に意義があるとされているが,その一方,これらが,単なる活動にとどまっていることが指摘されている。この背景には「総合的な教育」を支える個々の教科の学習,人権に関する知的理解に関する学習との関連が理論づけられていないという仮説をもとに,「人権に関する知的理解」と「体験」に関わる学習形態との関連を明らかにし,「人権感覚の育成」のための教科の立場から見た条件整備と提案を行うことを目的として実施している。 令和3年度は、Covid19の影響を受け,実際の学校に赴いての授業実践やインタビューが困難な状況にあったが、ICT機器やオンラインを活用した授業を実施することができた。そのため、これまで収集・整理した「体験的な活動」の実践事例などをICT機器やオンラインを活用した形にリライトし,実践を行った。併せて、韓国と日本の学生をオンラインでつなぎ、共通の授業についての意見交換を通して,両国の学生の学習形態に対する意識の違いについての検討を行った。具体的には以下である。 ①体験的な活動の収集・整理・分析:出版されている実践事例などを整理し,1つ1つに見られる「体験的な活動」と「知的理解」との関連の分析を進めた。 ②日本の社会系教科に関する学習指導要領の記述を検討し,学習形態についての記述の変化(具体的には、知識より体験や活動へ変化している)を統計的な手法を使い、明らかにした。また、同様の手法を用いて韓国の学習指導要領も分析し,日本と同様の傾向があることを明らかにした。 ③授業観察が学生の社会認識にどのような影響を与えるのかについて統計的な手法を用いた分析を行い、「学習形態」に対する認識の相違を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は当初,収集している授業実践のほとんどが、「対面実施」を前提としていたため,事例の再収集も検討していた。しかし、これらをオンラインやICT機器を用いた実践に再構成し、また、それを実践することができた。また、インタビューについても、同一の授業を検討する場を設定し、相互の意見交流の分析を行うことで、「学習形態」についての認識についての分析も行うことができた。以上の理由で、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度はこれまでの研究のまとめと「人権に関する知的理解」と「体験」に関わる学習形態との関連を明らかにし,「人権感覚の育成」のための教科の立場から見た条件整備と提案へとつなげる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid19の感染拡大防止を受け,予定していた学生へのアルバイトの依頼や学校訪問がうまく実施することが出来なかった。次年度は学生や訪問先の学校との連携を取りながら,また,難しい場合はICT機器を活用した調査や実践を行う予定である。
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