2022年度は実践研究から得られたデータを分析し、成果をまとめ、学会誌に学術論文を投稿した(残念ながら未だ採択には至っていない)。その学術論文を基に研究成果について述べる。 コロナ禍の中、本研究に小学校1・4・5・6年生が参加してくれた。実験群では、1年間(1年生については6カ月間)モジュール学習の際に「視写による作文学習」を実施してもらい、対照群ではモジュール学習の際に通常の学習(読書タイムや漢字の書き取りなどクラスによって異なる)を実施してもらい、事前から事後にかけての「文章読解力(教研式Reading-Test)」と「作文力(正しい文法で書かれているか等についての表記に関する能力と内容が分かりやすいものであるかについての記述に関する能力)」の変容を比較した(コロナ禍の影響のため、1・5年生では「文章読解力」と「作文力」、4年生では「文章読解力」のみ、6年生では「作文力」のみ調査を実施してくれた)。 分析の結果、1年生では、事前から事後にかけて実験群の方が「文章読解力」については高まっている傾向(有意傾向)にあり、「作文力」については有意に高まっていた。5年生では、事前から事後にかけて実験群の方が「文章読解力」も「作文力」も有意に高まっていた。4年生では、事前から事後にかけて実験群の方が「文章読解力」は有意に高まっていた。6年生では、事前から事後にかけて実験群の方が「作文力」は有意に高まっていた。 また、実験群の担任の先生や児童に調査終了後「視写による作文学習」についてどのように感じているかについてのアンケートを行った。結果、概ね「視写による作文学習」は楽しく有効であると感じているという結果が得られた。 本研究から「視写による作文学習」は小学生の「文章読解力」も「作文力」も高める可能性の高い学習方法であることが分かった。
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