研究課題/領域番号 |
18K02534
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
幾田 伸司 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00320010)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国語教科書 / 説明的文章 / 教材史 / 小学校 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後期の小学校国語教科書に採録された説明的文章教材の採録史を総括的に記述し、説明的文章教材を通して学習者に提示された教育内容の変容過程を明らかにすることを目的としている。本研究における教育内容は、文章構成の類型や、学習者に育てたい論理的思考力とともに、教材の題材や叙述内容、筆者の意見を通して学習者に提示される価値観や認識も含んだものを想定している。 こうした教育内容の変遷を考察するための基礎資料として、戦後小学校教科書において、どの時期にどのような説明的文章教材が採録されたかを一覧化した教材目録に、それぞれの教材で扱われている題材・内容、筆者の意見、文章構成等の情報を加えた、説明的文章教材データベースの作成が必要である。本年度は、教科書センター附属教科書図書館等での教科書調査を行い、教材本文の収集を行うとともにデータベースの作成を進め、基礎資料の充実を図った。本年度は、説明的文章が教科書の教材ジャンルとして取り立てて扱われるようになった昭和40年代以降についてのデータベース作成を進めた。 さらに、データベースの作成と並行して、教材名、筆者、採録学年、採録教科書、掲載年度のデータに基づく教材採録数についての量的考察を行い、教科書教材全体の中での説明的文章の位置づけと役割を検討した。また、扱われている題材・テーマを分類し、類型化を行った。ただし、一つの教材が複数のトピックを扱っていると判断できることも多いため、一次的な分類を通して設定した類型の見直し作業も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は説明的文章教材データベースの完成を目標とした。このうち、教材採録状況を一覧化した教材目録はほぼ完成し、これに基づいた教材採録状況の集計・分析を行っている。 一方、教材目録に題材・内容、筆者の意見、文章構成等の情報を加えたデータベースは、昭和40~60年代の採録教材については整備できているが、完成にはいたっていない。引き続き、昭和40年代以前と平成の期間について、教材調査とデータベースの作成を進める。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、データベースに基づいて説明的文章の題材・内容の時期ごとの特徴を記述し、題材・内容の変化の背景を考察する。 教材の特徴の変容を総体的に記述するとともに、採録期間が長い典型教材について、叙述内容の異同を検討する。採録期間が長い教材は、内容や文言の付加・削除、書き換えなど、本文の改変が行われることがある。そうした改変の理由としては、教材が伝える情報の正確化・精緻化、教材を通して学ばせたい教育内容の変化への対応などが考えられる。典型教材をモデルとして、そうした教材内容が変化する背景を明らかにする。
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