現職教員を対象として、これまで継続してきた講習会や研修会を開催し、小刀や彫刻刀の基本的な取り扱いについての指導を実施。これによって取り扱いが難しいとされている道具について、現職教員の基礎的な資質の向上を図ることができた。また、2019年には、当時の文部科学省教科調査官(図画工作)であった岡田京子氏を講師として「新しい学習指導要領を語る会」を開催したことにより、現職教員の図画工作科に対する理解を深める機会を提供することができた。さらに、岡田氏から依頼を受け、2020年4月には「初等教育資料4(Apr.2020 No.992)」において、『「つくりながら考える」造形プロセスとは』という論評を執筆した。 2018年度に愛媛大学教育学部2回生の学生を対象とした簡単な意識調査を行い、学生が道具の使用について学ぶ機会を望んでいることが判明したため、2019年度には希望する学生(3回生)を対象として「放課後!図工道具マスター講座」を開講。開講時間の設定については改善が必要であったものの、参加した学生は意欲的に活動に取り組む姿がみられた。これによって、学生の図画工作科に対する学習意欲の高さを確認することができ、学ぶ機会を提供することの意義を明らかにすることができた。 2020年度は上記研究の集大成として、現職教員と学生を対象とした「道具マスター研究会(仮)」の企画・運営をしていく予定であった。しかし、新型コロナウィルスにより、全国的に対面での授業などが強い自粛を求められる状況になり、研究の方向性を大幅に修正する必要性に迫られた。そこで、本研究のこれまでの成果を活かした動画教材の作成に意義を見出し、2020年度は動画配信するための環境整備ならびに、動画内容の検討を実施。これにより、本研究期間が終了した次年度からも研究を継続する基盤をつくることができた。
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