研究課題/領域番号 |
18K02540
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
長谷川 祐介 大分大学, 教育学部, 准教授 (30469324)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 学級活動 / エビデンス / 実践知 |
研究実績の概要 |
本研究は,これまでの研究成果を踏まえつつ,アクションリサーチの手法を用いて「エビデンスと実践知の統合に基づく学級活動の実践改善プログラム」を開発することを目的としている。具体的には構想した「エビデンスと実践知の統合に基づく学級活動の実践改善プログラム」を研究者,熟達教師(学級活動の実践経験が多い教師),若手教師(学級活動の実践経験が少ない教師)の三者協働で実施し,その効果検証を行う。 2018年度は主に次の2点を行った。第1は「エビデンスに基づく教育」に関する理論的検討と学級活動におけるエビデンス活用の基礎的考察である。その成果を日本特別活動学会第27回大会において研究発表し,論文化した。成果の概要は次の通りである。学校現場と研究者の協働による特別活動に関する科学的実践的研究を推進していくために(1)研究者は「エビデンスに基づく」のではなく「エビデンスを用いる」ことの重要性を認識しつつ,教師の自律性を保障しながら特別活動の実践改善において教師が参照可能なエビデンスを提供することが重要であること,(2)研究者と学校現場の協働を実現するには利害調整が必要であることを考察した。 第2は大分県で研究代表者が主催する小学校教師の学習ネットワークの参加メンバーを中心にプログラムのプレ実施を行った。「エビデンスの産出(質問紙調査の実施分析等)と提供」を行うため,質問紙調査は5学級の児童対象に,年3回(春,秋,冬)のパネル調査を行った。それとあわせて研究会を年5回行った。その成果をもとに,若手教師を中心に,学級活動の実践を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の進捗状況は次の通りである。第1は「エビデンスに基づく教育」に関する理論的検討と学級活動におけるエビデンス活用の基礎的考察についてである。2018年度は学会報告,論文化を進めていく上で,方法論の研究会や学会等に参加しながら,統計分析を中心としたエビデンスに関する方法論について考察を行った。エビデンスに関する分析方法の深化を図ると同時に,利活用のあり方について考察を深めることができた。 第2は「エビデンスと実践知の統合に基づく学級活動の実践改善プログラム」のプレ実施である。研究会は参加者が予定より若干少なくなったものの,その代わりに研究会の回数を当初予定より多く実施することができた。またパネル調査は予定通り3回実施することができた。調査対象学級が予定より少なくなったなどの課題があるものの,調査項目について尺度項目に加え自由記述の項目を設定し,テキストマイニングによる分析も可能なデータを収集することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は次の3点を予定している。第1は「エビデンスに基づく教育」に関する理論的検討と学級活動におけるエビデンス活用の基礎的考察についてである。2018年度同様,2019年度においても本研究に関する理論的検討の成果の一部を公表する予定である。 第2は「エビデンスと実践知の統合に基づく学級活動の実践改善プログラム」の本実施である。現在のところ,2019年度末ごろに学級活動(1)(2)について公開授業を行う予定である。その公開授業に向けて,エビデンスと実践知の統合に基づきながら学級活動の実践改善を行っていく予定である。 第3は2018年度の研究成果報告である。学会発表ならび論文化をとおして,2018年度の研究成果を報告する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度,研究打ち合わせ等の回数が予定より少なかったため,旅費の執行額が少なくなった。また当初予定より調査対象学級が少なくなったことにより,データ入力作業に関わる時間が予定より少なくなった。そのため人件費・謝金の執行額が予定より少なくなった。2019年度はデータ数を増加する予定なので,それらのデータ入力作業等において使用する予定である。
|