研究課題/領域番号 |
18K02540
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
長谷川 祐介 大分大学, 教育学部, 准教授 (30469324)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学級活動 / エビデンス / 実践知 |
研究実績の概要 |
本研究は,アクションリサーチの手法を用いて「エビデンスと実践知の統合に基づく学級活動の実践改善プログラム」を開発することを目的としている。具体的には構想した「エビデンスと実践知の統合に基づく学級活動の実践改善プログラム」を研究者,熟達教師(学級活動の実践 経験が多い教師),若手教師(学級活動の実践経験が少ない教師)の三者協働で実施し,その効果検証を行っていく。 2020年度は次の2点を行った。 第1は研究成果の報告である。日本教育学会第79回大会において研究発表を行った。具体的には長谷川(2019)が整理した学校現場に関わる研究者の役割とエビデンスの関係を参考にしながら研究をすすめた成果についてである。学校現場の実態把握のため記述統計によるエビデンスをつくる「書記としての役割」として,学級活動の公開授業にむけた取り組みに関わった研究についてである。若手教師が実態記述的なエビデンスと向き合うことは,自身の学級理解を内省する上で重要な意義があったことがわかったが,他方で学校現場において継承されてきた実践知は必ずしも体系化されていないため,実践知とエビデンスの接点を見出すことが容易ではなかったことが明らかとなった。 第2はエビデンスと実践知の統合に基づく学級活動の実践改善プログラムの効果と課題を多角的に検討するため,2019年度以前とは異なる小学校を対象に研究をすすめた。具体的には学級活動をはじめとする特別活動について積極的に取り組んでいる小学校の協力を得て,在籍児童対象のパネル調査を実施した。パネル調査は2回行った。それぞれの調査結果を実践改善のエビデンスとして調査校にフィードバックした。さらに調査対象校における学級活動の参与観察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度の研究の進捗状況は,年度当初の計画より,やや遅れている。その理由は,新型コロナウイルス感染症の拡大による研究活動をはじめとする諸活動への影響である。そのため当初計画より特に調査実施の遅延が生じた。まず質問紙調査(パネル調査)は当初3回実施予定だったが,2回に留まった。またコロナ感染状況に伴い,研究協力校への訪問が困難な時期が続いたため,学級活動等の観察回数も予定より少なくなってしまった。 以上の理由から,現在までの進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による研究の遅れにより,当初計画より延長して2021年度も引き続き研究を行うこととした。2021年度は次の2点について研究を行う。 第1は研究成果の報告である。研究成果について論文化する。学会発表等については,新型コロナウイルス感染症の情勢を踏まえつつ,可能な範囲で実施したい。 第2はエビデンスと実践知の統合に基づく学級活動の実践改善プログラムの効果と課題を多角的に検討するため,小学校で調査研究を実施する。新型コロナウイルス感染症対策をとりながらの研究実施が求められるため,学級活動の実践に高い関心を持ちつつ安全対策を取りながら学級活動の実践可能な小学校ならびに教員の協力を得ながら研究をすすめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大の長期化にともない,年度当初計画していたより研究協力校への訪問回数が少なかった。そのため旅費の支出が少なくなった。また感染拡大防止対策をすすめたため,データ整理等の作業等を進めることが出来ず,人件費・謝金の支出が行われなかった。 2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策を行いながら研究をすすめていくことになる。また2020年度に実施できなかったデータ整理等の作業等を進めるための人件費・謝金に加え,研究打ち合わせや調査等において活用する情報通信技術に関わる物品等も購入する予定である。
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