研究課題/領域番号 |
18K02544
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
宮下 与兵衛 東京都立大学, 大学教育センター, 特任教授 (50714804)
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研究分担者 |
古田 雄一 大阪国際大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (20791958)
荒井 文昭 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (40244404)
柳澤 良明 香川大学, 教育学部, 教授 (40263884)
大津 尚志 武庫川女子大学, 学校教育センター, 准教授 (40398722)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校運営への生徒参加 / 主権者教育 / 校則見直し / 開かれた学校 |
研究実績の概要 |
当初予定していたのは、フランスとドイツの学校調査で学校運営への生徒参加の実態把握とそのことを通した主権者教育の調査であったが、前年度に引き続き当該国での新型コロナの感染拡大状況により渡航して調査することができなかった。 5名の研究者は新型コロナ感染拡大以前に調査した各国の生徒参加による主権者教育の分析と日本の開かれた学校と主権者教育にどのように生かせるかの研究を続けた。各人は学会誌や研究会誌への寄稿、そして学校現場の管理職向けの教育誌である『月刊 高校教育』にこの科研費研究の各国の生徒参加による主権者教育について交代で連載をして、教育現場に研究成果を還元した。連載は24回にわたり続けられた。 校則問題が社会問題になる中で、文部科学省は2021年6月に各県教育委員会に「校則の見直しに児童生徒が参加することで、校則への理解を深めたり、主体性を培ったりする機会にもなる」と通知した。この校則の見直しへの児童生徒の参加は、この科研費研究で研究してきたテーマであり、文部科学省の政策に影響を与えているものと推察できる。 また、熊本市教育委員会は2021年3月に「校則・生徒指導のあり方の見直しに関するガイドライン」を制定し、その中で、「校則の制定・改廃に教職員、児童生徒、保護者が参画すること」とした。また、福岡市立中学校校長会は2021年8月29日に、生徒が参画する「校則検討委員会」の各校設置を提案し、各校に設置されて校則の見直しがすすんでいる。こうした教育委員会の教育施策にも貢献できるように研究成果の発表を続けてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は、アメリカ、フランス、ドイツ、ニュージーランドの学校運営への生徒参加を通じた主権者教育の調査研究によって日本の主権者教育にどう生かせることができるか明らかにすることである。初年度にアメリカの学校調査を実施したが、翌年からの新型コロナの感染拡大によって、計画していたフランスとドイツの学校調査ができず、研究期間を延長していただいている。フランスとドイツの調査は次年度実施を予定しているが、両国の新型コロナの感染状況で調査の可否が決まってくる。 フランスとドイツについては、新型コロナの感染以前に両国の研究をしてきた研究者が調査した内容によって、日本の教育にどう生かせるか研究をすすめている。また、ニュージーランドにおける生徒参加による主権者教育についてもコロナ感染以前に調査した内容によって日本の教育にどう生かせるか研究をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はこれまで新型コロナの感染拡大によってできなかったフランスとドイツの調査を予定している。不可能な場合は、感染拡大以前に両国についての研究調査をしてきた内容によって、日本の教育にどう生かしていけるのかをまとめていく。 アメリカ、フランス、ドイツ、ニュージーランドのこれまでの調査内容とそれをどう日本の教育に生かしていけるのかについてまとめていき、日本教育学会で発表する。また、その他の学会でも発表していく。 今までの研究成果のまとめを、特に学校現場の教育に還元できるように本にまとめて発行する計画である。文部科学省は校則問題で児童生徒の声を改善に生かすようにと各県教育委員会へ通知したが、それを受けて学校現場ではどのようにして生かしていくのか模索がなされている。本研究はそうした学校現場で参考になるものであり、出版によって貢献していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究のテーマはアメリカ、ドイツ、フランスの生徒参加による主権者教育の調査研究であるが、新型コロナの感染拡大によりドイツとフランスの調査に行けなくなったために研究期間を延長していただいた。そのため調査費用を繰り越し、次年度の調査のために使用額が生じている。 使用計画は、ドイツとフランスの学校調査のための旅費・宿泊費などに使用する。また、必要な資料の購入費に充てる。新型コロナの感染が収まらずに渡航できない場合は、研究のまとめを書籍にして出版する費用に充てる計画である。
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