研究課題/領域番号 |
18K02545
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
坪田 益美 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (20616495)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多文化共生 / シティズンシップ教育 / 社会科教育 / アジア |
研究実績の概要 |
日本において多文化共生に向けた学校カリキュラムへの改革を検討していくために、カナダがそれを計画、実施する中で対峙してきた多文化主義による学校カリキュラムの意義と課題について明らかにした。そこから日本が学ぶべきこと、現在進行形で起きている、あるいは将来的に予見される問題、課題について検討した。特に、多文化主義という思想の課題を、インターカルチュラリズムの観点から批判的に検討し、日本がこれからどのようなスタンスで多文化共生を目指すべきかということについての考察を行った。 また、これまでカナダの多文化的シティズンシップ育成のためのカリキュラムを研究してきた視点から、日本における地域社会との交流を重視した小学校のカリキュラムと、香港のキリスト教系の小学校における地域参加プログラムにおける社会的結束に向けたアプローチについて比較分析を行い、地域参加を通したシティズンシップ教育の方法と意義について検討した。ここでは特に、高齢者の多い地域であるという点から、高齢者と小学生という年代ギャップと旧来からの居住者と新規居住者という文化的ギャップの大きい地域という点に焦点を当て、そこにおいて小学生の児童たちがコミュニティ参加することの、児童のシティズンシップ形成という観点と、地域の活性化という観点、そして最終的にそれらが社会的結束を生み出すメカニズムについて考察した。香港は、同じアジアでも、日本とは比較にならないほどの多文化状況を経ているものの、やはり中華系がマジョリティである点で、日本が将来的に直面するであろう課題も見受けられ、今回収集した実践記録は極めて有意義なデータであると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、カナダの現状を見据えつつ、アジアの多文化的シティズンシップ教育の現状について現地調査および情報収集を行い、日本の状況との比較分析を行うための資料を収集することは、比較的順調に進んできたと言える。ただ、2019年度については順調であったと言えるが、COVID-19の影響により、3月に予定していた韓国での現地調査が行えなくなってしまったため、次年度の研究については方針転換が必要となると考える。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響により、当初予定していた、国際学会での情報収集ならびに、韓国・香港における現地調査が困難なことが予想されるため、研究計画にも若干の変更が必要となる。特に、現地での授業参観および教材収集が不可能となる場合については、具体的な教材、授業実践の比較分析を行うのではなく、先行研究上の共通点、相違点等、文献研究を中心に、理論的な検討へ、本研究の到達点を転換する可能性があると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、キャンセルせざるを得ない出張旅費が生じたため。海外渡航自粛規制が撤廃され次第、韓国、香港における現地調査を計画する予定である。
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